第41話 空は澄み渡る青

 綺麗に整頓された部屋の中、尋のベッドの上にはノートが置いてあった。中身を見てみると、そこには彼の心の声が書いてあった。


「クエストをこなして、本当に変われるのか分からない……自分は結局弱いまま……しょせんは夢の世界の出来事で、すべては意味をなさない……全部は無駄で虚しい……」


 彼の想いはそこに詰まっている。彼の心は何も動いていなかった。私の提案してきたことはほとんど意味をなしていなかった。私はそのノートをベッドに置き、窓を開ける。


「少しでも尋の気持ちが前向きになればって思ったけど、でもやっぱりそう簡単に人の心は変わらない……それでも、少しでも彼の本当の心の強さを彼自身が知れば、生きやすくなるって信じてる」


 彼は彼自身に対して大きな見逃しをしている。無駄に自分で自分の首を絞めていることに、気付いていないのだ。そしてそれこそが、彼がこの世界に来た原因だと私は思っている。この世界で少しでもその認識を変えるために、この世界に来たんじゃないかと、勝手に思っている。それなら私はそれを導くために出会う運命を促されたのだと思っている。乗り掛かった舟は最後まで見送りたい。その想いはあの頃と変わっていない。私は大きく深呼吸して空を見る。そして窓から飛び降り、箒に乗って空を目指して飛びあがったのだった。

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