第32話 進んだ道
黒いローブをかぶった輩たちは指揮棒型の杖で打撃の魔術を撃ち始める。私は無属性の防御魔法を使い、防いでいく。激しい魔術の応酬に私は動きづらいが、隙を見つけ風魔法を発動し、輩たちへと撃ち出す。奴らがその攻撃魔法を対処しようとした瞬間に逃げ出そうと考え、尋にも風魔法を纏わせたが、奴らの次の一手に移行していた。
背後からも魔術の飛来を感じ取り、防御魔法を発動。見ると、そこにはあのブラッククロスのヴォルフがいた。
「さて、少年。俺は君の苦しみが痛いほど分かる。俺もそうだったから。俺と一緒に来れば、その痛みを消してやれる。そこの旅人なんかよりも、もっとすぐに、効果的に心を楽にさせられる。他人の責任逃れのために苦しんできた今までの苦役を、清算しよう」
奴は気絶の魔術を撃ちまくり、私は挟まれて身動きが取れない中、尋に対してそう訴える。尋は俯いたま、何も言わない。
「尋、あいつの言うことは無視で良いよ。絶対の助けるから、だから……」
しかし、私の声は彼に届いてない。彼の目には光る粒が零れ落ち、私の方に顔を向ける。
「ごめん、なさい……でも、やっぱり苦しいんだ。今までの活動で確かに自分に自信は持て始めたけど、でも、やっぱり無理なんだ……」
彼はとても悲しそうな顔をして私を見る。今までやってきたことは無駄ではなかったが、彼の心には届いていなかったのだと、その時に実感をした。彼は静かに私に会釈し、そして彼の方へと歩いていく。そして彼の元へとたどり着く。
「じゃあ、清算に行きましょうかね」
ヴォルフはそう言い、時空間魔法で尋と共にその場から消えた。私はショックで防御魔法を崩さないことで手一杯となる。輩たちの攻撃は激しさを増していく。
「アルマリア! 大丈夫だよ!」
「なんなのもう、仕方ないなぁ」
その時、私を呼ぶ声が聞こえた。見ると、頭上を飛び越え、二人の人物が私の前に出る。一人は風魔法を纏って突撃し、一人は多種な属性魔法を使って相手を圧倒した。
「ベリー。ポプラ……ありがとう」
国境なき騎士団の二人が、助けに来てくれたのだった。
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