第9話 乙姫の玉手箱
数ヶ月竜宮城で暮らした私は、やっぱり地上に戻り、ME収集をすことにしたわ。
女の約束。もちろん刑期を終えても乙姫のことは絶対口外しないからね。
乙姫は帰る私に、いろいろと協力をしてくれた。
まず、余剰に集めてる魔力があって、それを玉手箱っていう名の装置に収集してるんだって。これをくれることになったわ。
この魔力って、ここ竜宮城を保持するためのエネルギーよね、そんなの悪いわ、って言ったんだけど、また貯めれば良いって、まぁ健気なこと言ってくれるじゃない。ありがたく使わせて貰うことにするね。
玉手箱は、エネルギーを貯めたり、魔法を発動したり、そんな機能を持つものみたい。彼女得意の魔法もプレゼントとして入ってるわ、だって。
魔力が余ったら、彼女の禁忌魔法、不老や年齢促進の魔法陣を起動するのもあり、なのかしら。
また赤ちゃんサイズにされたら成長促進で最長30年分ぐらいは成長させられるし、美しさを保ちたいなら、不老を使ってね、だそうです。
なるほどね。
これって、彼女の保険でもあるわけか。
そうよね。
また他の星に飛ばされても、これを偽装して持ち込む私物にできれば、すぐに必要な魔力が使える肉体ができあがる、ってわけか。
フフフ、間違って現地人がこの魔法陣を起動しちゃったら、若者でもいっぺんに年寄りになっちゃうわね。なんたってここの人達の寿命、まだ50年平均らしいし。フフフフ・・・
このもらった玉手箱、今は満タンになってないけど、ある程度魔力が詰まってるらしいの。追加でこれに魔力を10000MEまで貯められる仕様になってるんだって。しかも、この箱の中に呪物を放り込むだけで魔力だけを抽出してくれる。そんな便利な機能を持つ玉手箱です。
どうやら、この星で、伝説の呪物とか宝物とかいわれる、そういうものは魔力を含んでいて(ここまでは私も想像済みよ)、でも魔力を取り出すのはかなり難しかったらしいの。そこで乙姫が開発したのがこの玉手箱。
魔力を帯びた物から、自動で魔力を抽出し、貯め、吐き出すことができ、しかも魔法陣を仕込めばその吐き出した魔力を使って魔法を発動できるという優れもの。
これを、協力者に渡していて、宝物や呪物を見つけたら、放り込んでおいてくれるのだそうで、これは、そのうちの1つなんですって。
ありがたく使わせて貰うわね。
伝説の宝物とか呪物には魔力を含んでるんじゃないかってのは、私も想像していた。だから、貢ぎ物を持ってくるっていう男たちに、そんな伝説を記した書物とか、お話しを要求してきたの。
かなり数があることは覚悟してたし、おかげで、乙姫と竜宮城を見つけるきっかけともなったんだけどね。
なんと、乙姫情報網、半端ないわ。
私がそのことを言って、彼女にその文献を見せたのよ。
魔力収集って、やっぱり文明維持するのに必須じゃない?
当然のこと、彼女もいろいろチェックしてて、私の持ってる情報ぐらいはゲット済みってわけよ。
「これと、これ、これがあれば、玉手箱に追加したら刑期分のME溜まるはずよ。」
私の収集した文献に、チェックしてくれました。
想定含有魔力量までチェックしてるんだもの、さすが先輩、っす!!
てことで、次の目標は決まり、ね。
彼女がチェックしてくれたお宝のゲットと参りましょうか。
「仏の火石の鉢」
「蓬莱の玉の枝」
「火鼠の裘」
「龍の首の珠」
「燕の産んだ子安貝」
はてさて、これらをどうやって手に入れたものやら。
ひとまずは、本拠地、おじじ・おばばの元へと帰還しましょうか。
私はにんまりと、今後の予定を組みながら、宇宙船の隠してある竹藪近くの屋敷へと、久しぶりに帰ることにしたの。
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