第4話 復活の序章
翌日は、おじじもおばばも一緒に、竹藪と逆、彼ら曰く「村の鎮守様」なる場所に行くことになった。
村の鎮守様というのは、村の守り神を祀るほこらとのこと。
神に祈る、なんて、非科学的とは思うけど、たとえば私が魔法で諸々すれば、神の奇跡になるだろうし、ちょっとした科学技術を披露すれば、神の御技になるのだろう。
未開の星でそういうことを無駄にやってはダメというのは常識、てことは、当然、そういうことが簡単にできるって、歴史が証明してるのよね。だって、誰かがやって、これはまずい、って思ったからこそ、法なんてのはできるのだから。
なんで、村の鎮守様、なんてところにいくのかというと、掃除、らしいわ。
村人で順に掃除をするらしい(お清め、なんて言ってるけどね)。
ただ、その頻度は、この二人が多いそうで、どうやら村から外れたところに住んでいる二人の家の方が、村の人達よりも鎮守様に近いから、このお役目をやらせてもらってる、そう。
なんか、そのことが誉れ、みたいな感じで言ってるけど、これって面倒を押しつけられてる、って言わない?
まぁ、それはどうでもいいか。
この辺りの地理的知識はどっちにしても必要。
違う場所に行けるなら、と、喜んでついていきましたよ。
で、お掃除を手伝うでもなく、面白い原始的な建造物の見学をしていたんだけどね、おや?
このあたり、魔力に満ちてない?
静謐な感じがするだろう?なんて言われたけど、それって魔力に溢れてるって意味だったの?
どうやら、ほこらを中心として、ゆったりと魔力が地から染みだしてるじゃない。
これって、ひょっとしなくてもひょっとするよね?
私は、ほこらで魔力を取り込むべく、半瞑想状態に。
「はれ?ひゃひゃゃゃゃゃぁぁぁ?」
太陽が昼を示す頃。
おばばのヘンな声に気付いて、私は目を開けた。
なんか、腰を抜かして、私を指さしてるけど・・・・
おばばの声にビックリして、おじじも走り込んできた。
「ひょっへぇーーー。」
私を指さす、おばばに合わせてこっちを見たおじじ。
同じように、ヘンな声で叫んだと思ったら、おばばの隣に腰を抜かしてこっちを指さしてる。
この星では、人を指さしちゃダメ、って習わないのかしら。
人を見て、叫び腰を抜かすなんて、失礼しちゃうわ。
そんな風に思って二人を見てたけど、なんていうか、なんか違う?
私は、おやっと思って、首を傾げた。
何が違うのかしら?
ん?
視界?
ううん。視線だ!
視線の高さが違う。
ってことは・・・・
私は、ゆっくりと立ちあがった。
今まで、魔力を吸い取られて10センチ程度の身長だった私。
でも、この視界から察するに、30センチぐらいの高さはある?
ヤッター!戻った?!
たった30センチの身長。だけど、明らかに伸びてる。ていうか、ちょっとだけ元に戻ってる。
これって、この場の魔力を吸ったおかげ、よね。
魔力を吸収すれば元に戻れる、って話では知ってたけど、なるほど、こういうことなのね。
これは、いいことを知った。
元に戻る、その算段がついたかも。
「ひょっとして、かぐやか?」
私が自分の身体を確かめているのをしばらく呆けて見ていたおじじが言った。
「はい。」
私は微笑みながら頷いた。
「これは、またなんとも・・・」
目を白黒させるおじじ。
その頃にはおばばも復活して、二人で、「なんとも」を繰り返してる。
やがて復活した二人と共に、いったん、家に帰ることになった。
ふたりの気持ちを落ち着かせたら、しっかり聞かなきゃね。
この鎮守様みたいな場所、他にないのかしら。
フフフ・・・・
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いやぁ、たまげたこともあるもんじゃ。
そりゃあ、神から与えられた
いかにも小さいから普通の子ではないのは重々承知してはいたがのぉ。
まさかの、村の鎮守様をお清めしたら、何倍も大きくなっておったではないか。
大きくなれば、神の子だといやでもわかるほどに、神々しくも美しい。
これが神から賜った我らが娘とは、本当になんとありがたいことか。
かぐやは、他にも神の宮はないのかと、尋ねる。
なんとも信心深い子だ。
他の宮も清めて回りたいという。
徳を積めば、たちまちにて成長出来るだろう、と。
確かに大きくなった姫を見てみたい。
が、小さいのもまた、これはこれでよい。
儂はばあさんと話したが、できるだけ姫の心持ちに沿うよう計らおう、と、決めたのじゃ。
それを告げると、喜ぶかぐや。
では、と、早速、出会った竹藪へ行こうとねだってくる。
本当にめんこいなぁ。
儂は、もちろんいいぞ、と、二つ返事で出会った場所へ行ったんじゃ。
すると、なんと!!
またもや奇蹟。
数本の竹が光って折るではないか。
ニコニコと、では、竹を切りましょう、というかぐやに頷き、黄金に輝く竹を切り倒す。
なんと!
中からはみたこともない器に入った、輝く塊。
金?
まさか?
「これがあると助かる、そう言ってましたよね?」
驚いている儂を尻目にそんなことをニコニコしながら言ってくる姫は、このことを知っておったのじゃろうか。
儂はありがたく、頂戴し、その金を持ち帰ったのじゃ。
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ふう。
なんとか、金は使えそうでよかったわ。
この星では想像以上に結構な価値があるようで、まさかの家も建て替えられるし、服だって食べ物だってランクアップできた。
なんとか、人並みの暮らしができるようでホッとしたわよ。
いつまでも原始的な生活なんて、嫌だもんね。
何度か、金をつくって、おじじに採取させ、瞬く間にお金持ちの一家に成り上がったの。
それと、旅、ね。
お金があれば旅もできる。
この星は魔法を使う文化が育ってなくて、魔力を物に留めているみたい。
宗教施設になってるのね。
魔力は神を祀る場所にはそれなりに貯まっているようで、私は、籠、という人力の箱に乗って、結構な数回ることに成功したわ。
幸い、それなりの大きさまで復活したのはいいけれど、大きくなればなるほど、要する魔力も多くなる。で、この方法、140センチぐらいまで成長して、頭打ちになってきたわ。
私のもとの身長は170センチにちょっと満たないくらいだから、魔力もそこより多く貯めないと、刑期を終えることが出来ないじゃない?
この星の女の人って、今の私ぐらいの身長しかなくて、私は絶世の美女なんて言われて、有名になってきちゃったけど、こっちからすれば、まだまだ幼体と言っても良いのよねぇ。
さて、ここから大きくなるにはどうしたらいいかしら。
さらなる魔力あるものを探すには、どうすべきか、私は頭を悩ませることとなった。
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