第7話 羊を444匹まで数えると
いじめられている小学生H君の話。
H君の学校ではある噂がながれていた。
夜に学校の
クラスメイトたちは夜になると集まりこの噂を試した。しかしみんな怖がって444匹まで数えるまえにやめてしまう。
その小学校にかようH君はとても内気でおとなしい少年だった。その日、給食を残して先生に
クラスの中でも一番性格の悪いA君がこう言った。
「おいH、今夜みんなで学校のグラウンドに集まるんだ。あの噂を試そうぜ」
H君はゾッとした。
それは夜中に
しかしA君にいじめられるのが怖いのでことわれなかった。
本当は嫌だったがH君は夜中の9時に家を抜け出した。重い足取りで学校の
「おいH、さっそく数えろよ」
A君におどされた。
しかたなくH君は羊を数える。
「羊が1ひき、羊が2ひき、羊が3びき……」
あたりはしんと静まり返っている。しかも真っ暗だ。
唯一の明かりはA君がもっている懐中電灯だけ。
夜の闇に圧倒されて、みんな
100匹数え終わったところでH君がしぶる。
すると悪友のA君がおどす。
「おい、はやく数えろ」
しかたなくH君はまた羊を数える。
「羊が380ぴき、羊が381ぴき。羊が382ひき……」
そしてとうとう羊を443匹まで数え終わった。
そこで怖くなってH君は黙りこんだ。
「はやく数えろよ。ぶん殴るぞ」
悪友のA君にむなぐらをつかまれた。
そしてとうとうH君は。
「羊が444ひき」
かぞえてしまった。
みんなが息を殺して身構える。一台の懐中電灯だけが心細く闇を照らしている。
やがてH君が「ぎゃああああ」と叫んで逃げだした。
それにつられて他の男子も逃げだす。
とつぜんのことにA君は遅れてしまった。
みんなを追いかけながら。
「ばかやろう、このおくびょう者! もどってこい!」
とA君は
しかしこのときH君は聞いていた。
暗闇の中からかすかに聞こえてくる
H君は家まで逃げ帰るとそのまま布団のなかにもぐった。朝までふるえていた。
次の日。
悪友のA君とほか数名の男子が学校を休んだ。
なんでも夜中に学校の校門前で倒れているのを大人が見つけたらしい。
彼らは
そして二度と言葉がしゃべれず精神に異常をきたしてまった。
彼らはいまも精神病院に入っている。
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