第14話 誰だ?

 僕は悩んでいた。堅海さんに提案された、一騎打ちの相手選びに。


同じ部隊の内空閑さん、「普通の男子高校生」の天沢君は禁止されている。それと、白虎隊隊長・桐ケ谷さんも個人としては戦闘力が無いに等しいので、彼女に勝っても認められないだろう。


となると残りは7人。落ち着け。もう一度考え直そう。


 まず青龍隊。隊長・古財さんは絶対無理。あの人は戦闘においても「天才」だ。彼が任務で乱舞する様を何度も見てきたが、その度に圧倒された。腕力、俊敏さ、頭脳、多彩な攻撃、何を取っても敵わない。瞬殺されて終わりだ。


隊員・キキちゃん。彼女は「死刑執行人エクスキューショナ―」。あらゆる武器を使いこなす彼女は、自分が一度使った武器ならいつでも自在に取り出せる。唯一の年下だが、彼女も怖い。何しろ塵芥会で削除数1位2位を内空閑さんと争うくらいなのだから。


次にピエトロさん。彼も絶対ダメ。攻撃を当てるまでもなく2分の1で相手を殺せる人だ。彼の攻撃はその生死のルーレットだけじゃないらしいし、合同訓練で殺されはしないだろうけど、何が起きるかわからない。……え、青龍隊強すぎない?


 白虎隊。エマ君は友達だ。彼はこんな僕にも優しくしてくれる。本当に優しい、聖人みたいな人。でも戦いになると厄介だ。「スカイハイ」で飛ばれたら僕の攻撃は届かない。


もう一人の隊員・柊さんも強い。「リンク」で一度でも背後に回られたら終わりだ。素早さがどうこう、という次元ではないのだ。


 玄武隊。隊長で「騎士」のアオさん。彼もまず勝てない。古財さんに勝つ人がいるならそれはアオさんだと言われている。剣に長けた彼に剣勝負を仕掛けて勝てるはずがない。


「ガンナー執事」の堂本さん、彼は……まず雰囲気が怖い。誰をも寄せ付けないし、挨拶も返されたことがない。実力も確かで、エイムがずば抜けている。彼が弾を外したなんて、見たことも聞いたことも無い。狙われた時点で終わり。そもそも彼が僕の相手を承諾してくれる可能性も低いのでは?


……以上、7人。


総評、皆強すぎ、僕弱すぎ。


「うはあああ」


自室の椅子でうなだれる。


誰にも勝てる気がしない。


自分に可能性が感じられない。



「僕って、弱いんだ」



思わず漏れた自分の言葉に自分で傷つく。


涙が出そうになる。


合同訓練は2週間後、お互いの都合のいい日と決まっている。たった2週間で、この内の誰かに勝たないといけない。


そんなこと、僕にできるのか?


最弱の僕が?


暗くなっていく思考をかなぐり捨て、堅海さんが今まで集めてきた全隊員の資料にもう一度目をやる。


とにかく、誰か勝てそうな人を見つけないといけない。


2週間後の僕が勝てそうな人。




……って誰?





あとがき

文字数制限に怯えています。10万も20万も書けるのに!!

今日もこの後もう一本投稿します

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