第六話(投稿者のツッコミ付き)

そう言うと神楽坂は立ち去っていった。

さて、これから忙しくなりそうだ。

私はスキップしながら大学に向かった。(チョロい笹原さん)

入学式当日。私は大学の正門の前に立っていた。周りを見ると私と同じようにスーツ姿の人が大勢いる。おそらく全員新入生なんだろう。そんなことを考えていると、一人の男性が話しかけてきた。「あのぉ、もしかすると笹原京香さんですか?」

突然の質問に戸惑っていると彼は慌てて言い直してきた。

「あぁごめん。俺は君のこと知ってるからつい名前言っちゃったんだよね。君は知らないと思うけど、俺のこと覚えてるかな?」

そう言われて考えてみるが、どうにも記憶が思い出せない。私の知り合いって大体オタクなんだけど……。(オタクしか友達がいない笹原さん)

「すみません……。ちょっと分からないですね」

素直に伝えると、その男性は残念そうな表情を浮かべてから、小さくため息を吐いて自己紹介をした。

「まあ無理もないな。最後に会ったのは小学生のときだからな」

彼がそう言ったことでようやく理解できた。小学生の頃に仲良かった男の子がいたのだ。名前は確か……山本大輔(やまもとだいすけ)。あまり目立たない子だったが、一緒に遊んでいるうちに仲良くなった。だが中学受験に失敗したせいで彼とは離れることになり、それっきり疎遠になってしまっていた。(笹原の悲しい過去がここに……)

「そういえば、どうしてここに?」

疑問に思ったことをそのまま聞いてみた。「ああ、実はここの教員になる予定なんだ」

そう言って名刺を渡された。

「えっ!教師になったの!?」(教師!? 時間軸が崩壊してません?)

「うん。ま、最初は教育実習生だけどな。笹原はどこの学部に行くつもりなの?」

「教育学部だよ」

「おお!奇遇じゃん!」

偶然ではあったが、こういうことがあるとは思わなかった。それから少し話をしてから別れた。

その後は特に何もなく無事に受付までたどり着いた。中に入ると綺麗なお姉さんたちがたくさんおり、その中に神楽坂の姿もあった。彼女はこちらを見つけるなり笑顔で近づいてくる。(呼び捨ては良くないと思います、笹原さん)

「ようこそ、ドリームプラネットへ」(大学じゃなかったんですね……)

「今日は説明会に来たんですけど……」(入学式じゃなかったんですか? そもそも就職がなかったことになっているような)

「あー、やっぱりそうですよね。では、早速案内します。付いてきてください」

私は彼女に言われるままに歩き出した。

「まず初めに、このテーマパークでの大まかなルールを説明します」

神楽坂の後に続いて歩いていると急に立ち止まって話し始めた。

「この遊園地では一日に平均で約2万人が来場されています。ですが、それだけ大勢のお客様がいるとどうしてもトラブルが発生しやすくなるのです。そこで、私たちは様々な対策を取りました。例えば、人が多い時は入場規制をするといった感じにです。その結果、今ではほとんどトラブルが起きていません」(人数が多いなら客を減らせばいい理論、合っているような、間違っているような……いや、間違いでしょ)

確かに言われてみると、混雑する時間帯でもスムーズに入退場できている気がする。

「ただ、それでもまだ改善の余地はあると思っています。なので笹原さんには、私たちと一緒に問題を解決していただきたいのです」

つまりは営業的な仕事というわけか。(営業ってそういう仕事なんですか?)

「分かりました。ちなみに具体的な仕事内容を教えてもらえますか?」

私がそう聞くと彼女は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「もちろんです。お見せしたいものがあるのでついて来てください」

そう言うと再び歩み始めた。着いた場所はこのテーマパークの中央に位置する場所だった。

そこには大きな建物が建てられており、入り口付近には『ドリームプラネット』と書かれている。(大学はどこですか? あ、ここじゃない。失礼しました)

「ここにはいろいろな施設が入っていまして、一番近いところですと、レストラン、グッズ売り場などがあります。他にも、イベントホールやショーステージなどもありますね。それと、ここからさらに進んだ先にはホテルも建っていますよ」

そんなものまであるのか。

「ここでは何をすればいいんですかね?」

「主に三つに分かれてもらいます。一つ目が、キャストの皆さんのフォローと指導。二つ目に、アトラクションの管理とメンテナンス。そして、三つ目はセキュリティ管理となります」

「あの、私まだ何もできないんですけど大丈夫なんですか?」

不安そうな声音でそう言うと、神楽坂は笑いながら答えてくれた。

「ふふっ。心配いりませんよ。仕事内容はその都度教えていきますので、分からないことがあったらすぐに聞いてくださいね」(優しい会社ですね)

「はい。それで、具体的にどんな仕事をすることになるんでしょう?」

「では、最初に案内するのはこちらになります」

連れてこられたのは近くにあるショップだった。

「ここは『D-station』といって、園内にあるすべてのアトラクションの攻略情報や裏設定なんかが聞ける場所です。ここで、笹原さんにやってもらうことの説明をします」(攻略情報? 回る順番とかですかね。裏設定は、やばそうでなければ聞いてみたいですね)

「お願いします」

「笹原さんに担当してもらうのは主に三つの仕事です。まず一つ目の仕事は、アトラクションのサポートスタッフとして働いてもらって、実際にパーク内で起こっている問題に対して対処することです。これは、笹原さんの能力を活かすためのものですね。二つ目の仕事は、先程言った通り、アトラクションの管理とメンテナンスですね。こちらは、機械類に異常が起きた時の対応をしてもらおうと思います。最後に、三つめの仕事は警備の方ですね。もし不審者が侵入しようとした際に止めるのが役目です」(それ、さっきの場所でも説明できたんじゃないですか?)

なるほど……なかなか大変な仕事ばかりだなぁ……。(死亡したらお金がもらえるくらいですからね)

「とりあえず、どの部署で働くことになるかは面接の際に決めることになります。まあ、どれも大変でしょうが頑張ってくださいね」

「はい!頑張ります!」

こうして私の就職活動が始まった。

「ここが配属される場所なのか?」

目の前の建物を見ながら呟く。(これは就職したってことなんでしょうか)

「そうみたいだよ。ほら、今から行くから早く来て」

後ろを振り返ると、そこに立っていたのは白衣を着た茶髪の女の子であった。歳は高校生くらいだろうか?彼女は、私の顔を見ると少し驚いた様子を見せた。

「えっと、君は?」

「ああ、ごめんなさい。私は神威愛梨(かみいあいり)っていうんだ。君の名前は?」(新キャラをバンバン製造してくれるのは嬉しいですね。そういうのちょっと苦手なんで)

「俺は笹原怜奈。よろしくな」(急な俺口調になってしまいました……)

「うん、よろしく!じゃあさっそく中に入るよー!」

彼女に言われるままに中に入った。

「失礼しまーす」

部屋の中には多くの人たちがいた。だが、そのほとんどがスーツを着ている。おそらく全員就活生だろう。(笹原さんにとって、スーツ着ていたら就活生か学生という定義になっているのだろうか)

「あれ、先生じゃないすかー」

奥の方にいた一人の男性がそう言う。どうやら彼女の知り合いらしい。

「どもー。元気そうで何よりだよ」

「そんなことはいいんすよ。それより、例の学生を連れてきたんすよね?」

「そうだよ。ほれ、自己紹介して」

「はじめまして。笹原です」

簡単な挨拶をしただけで彼女に連れてこられた理由が分かった。ここの教員になるためには教員免許を取得している必要があるのだ。だから、ここにいる人はみんな教師を目指す人なのだ。(思考の飛躍が異次元な笹原さん)

「笹原さんは何か得意なこととかあるかな?」

突然そう聞かれたので少し戸惑ってしまった。だが、自分の夢を思い出して答える。

「特にこれといった特技はないですが、趣味は読書なので本に関する仕事に就きたいと思っています」(ドリームプラネットはどうなってしまうんですか、笹原さん。内定辞退ですか?)

「ほう、それは素晴らしい!笹原さん採用決定!」

「えっ!?ちょっと待ってくださいよ!まだ履歴書すら書いていないですよ!」

「その必要は無い。何故なら、私は人の未来が見えるからだ」(この後の地の文から察するに、これは笹原さんのセリフなんでしょうけど、急すぎませんかね)

「へぇー、すごい能力なんだね」

素直に関心してしまった。まさか自分が小説の中にしか存在しないと思っていたような力を持っていたなんて思わなかった。

「よし、早速だけど笹原さんの適性検査を始めようか」

「はい。お願いします」

そうして私は、初めて超能力というものの存在を知った。(急な超能力展開)

私が『D-station』で働き始めてから約1ヶ月が経とうとしていた。仕事にも慣れてきて、今では一人で仕事をこなせるようになった。(世界観に追いつけていない自分が逆に恥ずかしくなっています)

「さて、今日も始めるとするかね」

独り言を言いながら立ち上がる。「あっ、先輩。おはようございます」

「おう、おはよ」

後輩である天宮七瀬に軽く返事をして仕事に取り掛かる。

「いつも通りメールチェックをするぞ」

「はい、分かりました」

私たちは、この施設で起こる様々なトラブルに備えて、毎日送られてくるメールを確認するように言われていた。

「先輩!見て下さい!」

興奮した様子で画面を見せてきた。そこには、私たちが解決するべき問題が書かれていた。

「またか……」

「これで4件目ですね」

「まったく……ここ最近おかしな事件が多いな「本当に困ったものですね」

今回の事件は、『D-station』のすぐ近くにある人気アトラクション『ドリームワールド』のアトラクションの一つである『ジェットコースター』に細工が施されていたというものだ。(エリア分けみたいなもんなんでしょうか) 

 犯人は、外部から侵入してきた男で、現在は警察に身柄を拘束されている。犯行動機は、『遊園地で働く人達が羨ましくて嫉妬しちゃったから、ついカッとなってやっちゃいましたテヘペロ☆』ということだった。正直、理解に苦しむ。(私もです、笹原さん)

「笹原さん」

「神楽坂さん。どうかしましたか?」

「いえ、実は笹原さんにお客様がいらっしゃっているのですけど」

「私にですか?」

一体誰なんだろう?

「とりあえず会っていただけませんか?きっと喜ぶと思いますよ」

「はぁ、わかりました」

そして案内されたのは小さな会議室のような場所であった。扉を開けると中には二人いた。一人は金髪の髪をした青年ともう一人は、どこか見覚えのある女性だ。

「おお!怜奈!久しぶりだな!」

「……お父さん?」

そこに居たのは私の実の父親、笹原龍二(ささはらりゅうじ)と私の母親、笹原美月(ささらはらみつき)であった。「どうして二人がここに?」

「んー?そりゃもちろん遊びに来たんだよ」

「違うわよ!あなたに会いたくて来たのよ」

なるほど、そういうことか。

「とりあえず座ってくれ。話したいことが山ほどあるんだから」

「うん、わかった」

「では、私は席を外しますね」

そう言って神楽坂さんが出て行った。

「怜奈。お前、ここでちゃんとやっていけてるのか?」

「うん、まあそれなりにね」

「そっか……。それならいいんだけどさ、俺としては心配な訳よ。ほら、うちの娘は超が付くほどの天然娘だからさ、職場で変なことされてないかなって思ったりしてな」

「ちょっ!もう止めてよ!」

二人は昔から変わらないなと思った。こんな風に親が子供を気遣う姿を見ると少し感動してしまう。(疲れたのでここで一旦切ります)

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ふつうのあい サトウ @satou1600

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