第6話 弱点はどこだ
「ハハハ! グハハハハ!
「ああ、俺の予感なんて外れていればいいと思うじゃん。この灼熱の魂に祈りを捧げるじゃんよ!」
ズンズン……。
今は、ラゴくんが見当たらなくなった。
草地のどこかにいる筈だ。
シッタくんが、シュッと空へ舞う。
攻撃目標にならないだろうか。
「
赤い逆髪を一周し、目の前で空に立つ。
冷やかしてやれ。
「ハハハ!
「心得がいいとみた。その金銀の瞳を潰してやる!」
俺は、一瞬止まってしまった。
この話題を友達以外に指摘されるのは、実はしんどい思いをする。
想い出を傷付けられるから。
「この瞳は、
俺は、土手下の川を確認する。
船が繋がれており、誰も乗っていない。
ラゴくんも俺と同じ策を考えているに違いない。
「
ちょこざいな。
これ位、髪一本の差でかわす。
俺の防御の骨頂だ。
「
俺には、『
この金の輪のお陰で、以心伝心だ。
「――ピキイイイ。
吊られているバチくんから、策があるとの念が届いた。
次の
「――ピキイイ。俺も向かうやん」
いた。
ラゴくんだ。
いいタイミングで、草むらから出て来るだろう。
「もう一つ、
来た。
だが、これからが正念場となる。
「
俺は、こう来ると予想して、鼻をつまんで待機していた。
「鼻をつまんだ位では、結構辛いものがあると思ったが、そうでもないじゃん」
バチくんは、
「ンン? 小童、嗅いだこともない匂いだの」
分かった。
俺は、バチくんの仲間だから効果がないのだろう。
「ンン? ンンン? クオオオ、鼻が! 鼻をつまむしかないのか、フガフ」
左手の臭いの元、バチくんを腕を伸ばし遠ざける。
このときを狙って、キャラケンくんとバチくんを救いださなければ。
ラゴくん、最後の一刺しと身を潜めているのか。
まさか、逃亡はないだろう。
俺と悪友なんだ。
仲間だ。
ラゴくんである前に、
約束した団子の件もある。
「――ピキイイイ。僕からも行くよ。手が緩んだ隙に飛び出すからな」
「――ピキイ。
バチくんに続いて、ぶら下がっているキャラケンくんからも攻撃だ。
ラゴくんも信じているからな。
「
キャラケンの双眸から、冗談みたいに光が当てられ、
「
ブヒャッとクシャミを
その後、思いっ切り息を吸ってしまったようだ。
「さっきのと混ざってえも言われぬ程の臭いがするのお……。フ、フガフガ」
俺も黙って見ていることはない。
闘うべし。
「
トゥルンと
超右手刀、ルンと超左下段回し蹴り、ルンともう一回転しながら、足に焔を纏いながら超豪左下段回し蹴りをかます。
「やるっすね」
「スゲーな」
「素晴らしいデス」
「ウグアアア……!」
もしや、弱点なのか。
俺はどうにか活かせないかと作戦を練っていた。
そのときだった。
「オレや、応戦やあ!
ズガアッサアッと、草むらから飛び出したのは、俺の悪友、ラゴくんだ。
ラゴくんは裏切らなかった。
「がんばれ! 流石、俺の悪友じゃん。応援しているじゃんね!」
俺でさえ、目にも止まらない素早さで、手裏剣を投げるが如く、水平に延髄を打ちまくる。
「小童など、蠅如きが」
やっと、人質二人に脱出の機会が与えられる。
捕らえていた手が緩んだ、この隙を狙ってくれる筈だ。
「よし! 今っすよ」
「了解だぜ」
バチくんとキャラケンくんが息を合わせた。
「とう!」
「やああ!」
空へと飛び出す。
やっと、二人が無事に逃げおおせた。
「――よし、作戦は次の段階へ移るじゃん」
俺は、自分らしくもなく好戦的な笑みを浮かべてしまった。
これは、俺の問題なのだろうか。
「大王よ、俺はもっと穏やかな方じゃんね?」
「
俺は、頭を掻いた。
「今、やっと分かったじゃん」
「心当たりがあるかの。どこか、
「闇か……」
俺は、金銀の瞳のことだとは、誰にも話したくなかった。
だが、大王とは身も心も繋がっている。
読まれても仕方がなかった。
「そうか。父を大切に思うのは、孝行だと思わないか。親のみならず、皆に行えれば、それに越したことはない」
「フフ、一丁前に説教されちまったじゃん」
皆に俺の表情を見せたくないと、少し俯いて、再び頭を掻いた。
「我は大王ぞ。
「そうだったな。ハハハ。久し振りに父の件で腹から声が出たよ」
亡くなる原因は俺だった。
俺の中に
あげる方のドナーが
俺の予後が悪くて、ベッドで唸っている間に、
これが、俺の弱点になる。
「俺なんて、いなくなればいいと、腹にパンチをしたいときが幾夜あったか」
物思いに耽っていたときだった。
「ウグアアア……。小童らめ、どこへ消えた?」
しまった、闘いの最中だった。
俺の両頬をペシペシと叩いた。
目覚めろ、
「さて、『
バチくんとキャラケンくんも揃う。
「おおー、首がもげるかと思ったっす」
「そのガタイなら大丈夫だと思うよ。華奢で華麗な僕なんかに比べたら」
ラゴくんとシッタくんも江戸川の上空に集まった。
俺達五人は、空中で
「分かり易いやんな」
「そうっすね」
「分かった。僕が主役だ」
残念だが、キャラケンくんが主役ではない。
「ワタクシ、がんばりますデス」
この策は、シッタくんの活躍に掛かっている。
「シッタくん、俺達もサポートするじゃん。援護は任せて欲しいじゃんね」
「了解しましたデス」
シッタくんの六角形の瞳が燃え立っている。
厳密に言えば、瞳の中に炎が投影されているようだった。
どういった素性かを訊くのは失礼に当たるので、今は
俺達五人は、先ず
「
バ、ババババン。
「うわー、俺、ヒーローみたいでもう言葉がないじゃん」
「なりたかったのデス? リーダー」
「俺、アシュリーダー? それ、よすぎじゃんね」
きちんと呼べば、
「とにかく、
五人とも飛翔しながら、
輪になって中央へ拳を突き出した。
五人が星のように輝き出す。
「我なり。
大王の声が俺を通じて、響き渡った。
まるで、
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