第3話 四王勢揃い
トゥルンルンルン……。
シャララララン、ツァルルル……。
「
俺は、がむしゃらに
「あああ! 助け、お助けあれー」
「あの声が、
南東から探して行こう。
南に石碑などを見て、そのまま南にまた「
そして、北へ行くと、先程までいた
その南に
もっと先に五十二段の階段へ出てしまうので気を付けよう。
この北参道へ通じる道の西側に南大門跡があり、般若の芝や不動堂がある。
その北の向かいが中門跡となっており、回廊を挟んで、朱塗りの柱が立派で
その両脇には経蔵跡が東に鐘楼跡が西に、北には「
さて、西へ向かうと北に「
さらに延命地蔵尊や摩利支天石を過ぎ、「
「どこにも姿がないじゃんか。でも、この声は遠くないじゃん。これが、いつでも耳を澄ましているような
「我なり、
「ええ? またしても大切なことをさり気なくじゃんね」
「愛娘を捜しつつ、我らへの加勢に期待しようぞ」
「了解!」
腹の中で話をするのを本当の腹を割った間柄ではないかと奇妙な感覚に包まれた。
「
俺と同じ『
「おーい、
トゥルンルンルン……。
シャララララン、ツァルルル……。
「誰かがいる証じゃん」
近くの
右正拳を繰り返し出していたが、俺に気付いて止めた。
どう見ても見なくても、
「俺は、
俺の方から手を差し出す。
握手に応じてくれた。
「僕は、
薄いが整った眉で、瞳は水色で俯き加減の目をしている。
髪は虹色をしており、腰までありそうなのを右で軽く結わえている。
華奢な顎が壊れそうだ。
「こう見えても男だからな」
そう言いつつ、彼は美しい髪を掻き上げた。
キラキラと、虹色が光る。
彼の姿も、
上には虹色の
草履は、鼻緒が虹色の
「
「
「所で、僕が誰だか分かるか?」
「自己紹介していて、どうしたんじゃん」
「
それなら、思い当たる節がある。
「んー、じゃあ、キャキャキャ……」
言い難くて長い名だ。
「
「なら、キャラケンで、OK、OKじゃん」
「おい、『
キャラケンくんが虹色の髪を掻き上げる。
自意識過剰かと思った。
「僕の
「じゃあ、この近くじゃんね」
闇雲には動かないで、慎重に近辺を探る。
紫の塊がこちらが来るのを待っていたようだった。
『
「俺は、大王だから、アシュ。で、この色男は、キャラケンくんじゃん。すると、君は誰じゃんね? 高校生?」
「ワタクシは、
「おー! 凄い、高専じゃんかあ。俺は高一、キャラケンくんの方は高二じゃんね、話が合うと思うじゃん」
彼の眉は軽く吊り上がっている。
瞳は透明に近い人口のもので、六角形をしているが、事故にでも遭ったのだろうか。
薄紫の髪が背中まで波打って後ろ姿は人形のようだ。
顎は卵型で可愛い感じすらある。
「もしかして、
「ワタクシもよろしくお願いいたしますデス」
彼の姿も、
上には薄紫色の
草履は、鼻緒が薄紫の
「俺達さ、今な、
「了解しましたデス」
どうにも可愛い感じがして、仕方がない。
俺のタイプって、特にないけれども、アイドルだと
「推してるんじゃん、俺」
「どうしたよ、アシュ」
「いやあ、
真剣白羽取りをされた。
「さあな」
「ガーン! 宇宙一可愛いじゃん……」
三人で
がたいのいいのが、『
スマートフォンで写真を撮ってみる。
中からは、人間ではなく、
「こ、怖いじゃんね。彼に画面上からタップしてみるじゃん」
ピルウルルウルル――。
そちらから電話が架かって来た。
折角なので、ビデオ通話にした。
赤い筋肉を自慢気に確認しているポーズから、ぐるっと回ってドアップが映った。
キャラケンに続いて、自分大好きくんだろうか。
「
「どこかで聞いたことがあるじゃん。どこの高校じゃんね?」
「
眉が太目で逞しい。
瞳は、濃い紫で、キョロッとしている。
髪は、群青色の両脇を刈り上げて、顎が逞しい。
「
「おお! じゃあ、バチくんでいいじゃんね。俺は
彼の姿も、
上には群青色の
草履は、鼻緒が群青色の
「漢字が苦手そうっすね」
「学年三位じゃん。それはないじゃんよ。仲良くしたくって、愛称で呼びたいんじゃん」
キャラケンくん、シッタくん、バチくんが揃った所で、活を入れた。
「後、一人じゃね!」
拳を作って、振り下ろした。
「そうなんっすか。
バチくんは、くんかと嗅いで、最後の一人が一番奥のバスだと言い当てた。
タイヤが熱を持っている匂いらしい。
「そのようデス。ワタクシの
気まずそうに、俺に頭を下げた。
そんな、気遣いは不要なのに。
「僕のは、ビューティフル魂に近い
猫みたいに、カカッと髪を搔き上げた。
悪いけれども、俺達でチームを作りたい気持ちがある。
「キャラケンくん、皆で探すじゃんね。それに、
キャラケンくんが、一度腕を組んでそっぽを向いたが、軽く振り向いて頭を垂れた。
悪気はなかったのだろう。
五十二段の階段を駆け下りる。
「んー。んんんん? あの餅隠しじゃんね?」
観光バスの辺りにあの目立つ悪友を見つけた。
彼の姿も、
それと分かってか、バスの学ランから離れようとこっちへ走って来た。
すっかり、全身の体色が赤く、上には深緑色の
草履は、鼻緒が深緑色の
「どうしたのさ。
「この腕輪か? 事情はよく分からないが、俺には神が宿ったらしいやん。日頃の行いか? ふふふ」
後ろの集団を気にしつつ、こちらへやって来たようだ。
「すると、残りは、
「軽っ。どうするやん!
俺は、仕切り直した。
「こちらから、ラゴくん、バチくん、キャラケンくん、シッタくんじゃん。俺は、アシュじゃんね。よろしく」
「オレや、よろしくや」
「
「僕もよろしくだね」
「ワタクシもよろしくお願いいたしますデス」
輪になって中央へ拳を突き出した。
五人が星のように輝き出す。
「この
せーのと、息を吸いこむ。
「おうや!」
「おっす!」
「
「デス」
俺達は、一丸となったと思った。
そこへ、
「やっべえじゃんね」
「どうしたやん」
「ちょ、灯台下暗し。東京の方じゃんか。
班の連中に、先に帰るとは言い難い。
そもそも、はぐれてしまったことも伝えられない。
こんな、筋肉体型のモデルは、ある意味需要がありそうだが、友達としての需要は、今はない。
どう伝えようか。
「アシュさん、
バチくんが、拝観料を支払った際に貰った紙にさっとメモをして、紙飛行機に変形させると、班長の頭に当てた。
キャラケンくんが大笑いしており、シッタくんは、飛行機を人工的な瞳で見ていた。
ラゴくんは、同じ修学旅行をしている身として、心配してくれているようだった。
「班長、なんですか? それ」
「
小さな紙飛行機を開いて、
「紙飛行機ねえ。
◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます