第180話 グータラ陛下の後始末
シュテファン24歳、カレリーナさん18歳だった。
シュテファンは、フランベルク
そこに、久々に家族全員が集まる。
マインハウス神聖国皇帝に、
シュテファンと、カレリーナさんの結婚。これは、僕とトンダルとのより強い結びつきとなる。けど……。
え〜と、お母様と叔父様は姉弟。僕は、ハーフヒールドルクスで、シュテファンは、クォーターヒールドルクス。トンダルも、ハーフヒールドルクスで、カレリーナさんは、クォーターヒールドルクス? まあ、
結婚式は、ヴァルダにて行われ、そこに皆が集まったのだった。当然、トンダルもやって来たが、馬から降りると、皆に運ばれ、席に座る。やはり、歩行は出来なくなっていたのだった。
「トンダル、遠くまでありがとう。でも、良かったの? 結婚式、ヴィナールでやっても良かったのに」
「フランベルク辺境伯と、ヴィナール公の娘の結婚式です。そういう意味でも、ちょうど中間地点にある、ヴァルダは都合が良かったのですよ」
「なら、良いけど」
僕が、そう言いつつトンダルを見る。だいぶ太ったよね。
「あの、トンダル。え〜と、肉づき良くなったよね?」
「ええ、太りましたよ。歩けないのに忙しくて」
そうか、歩けないもんね。
「大変だね」
「まあ、政治関係や、事務仕事は歩かなくても出来ますしね。だけど、頭使うから、お腹だけは減って」
「で、食べちゃうと」
「そうなんですよ」
まあ、聞くところによると、本当にトンダルは忙しそうだった。ヴィナール公国の
そして、その領内諸侯の関係性で、ヴィナール公国の発展につながるだろう、決まり事を作っていた。これを、ヒールドルクス家家憲と言った。
トンダルは、領内諸侯や家臣を集めて、ヒールドルクス家への忠誠を改めて
子供達に、領民の
他の家憲の見本となると同時に、ヴィナール公国出身の領内諸侯や家臣と、元々は、外からやって来たヒールドルクス家との間に、強い
「そう言えば、グーテルやりましたね?」
「何を?」
「オルセンです」
「ん?」
そう言えば、オルセン君、最近亡くなっていたね~。
「まあ、処分に困っていた、私もいけないのですがね」
「ん?」
なんの事でしょうかね~?
こうして、無事に、シュテファンと、カレリーナさんの結婚式が終わると、僕は、さらなる、やり残した事の処置に入る。
僕は、同年、
ダリア地方で会った、バドバ出身の
別に、マインハウス神聖国皇帝からの
金印勅書とは、皇帝の命令が記され黄金の印章が押された公文書だった。まあ、皇帝の勅命という感じだ。マインハウス神聖国における、最高法規でもあった。
それで選帝侯会議を招集したのだが、今や、僕は、選帝侯会議に出席する権利も、
「では、父上、行って参ります。必ずや、良い結果になりますよう働きかけますので、楽しみにお待ちください」
「うん、期待しているよ」
「はっ」
というわけで、我が長男ボルタリア王ジークハルトが出かけて行った。場所は、今や帝都はヴァルダだが、帝国議会場のあるフローデンヒルト・アム・マイン。
そして、選帝侯会議のメンバーも変わった。変わってないのは、ザイオン公アーレンヒルト2世君と、トリスタン大司教ヴェルウイン君くらいだっただろう。
まずは、ボルタリア王は、僕からジークに。さらにフランベルク辺境伯は、トンダルから、シュテファンに。これで、確実に2票……。ヴェルウイン君も、いるから3票か? じゃなくて……。
え〜と、ミハイル大司教ペーターさんは、1320年に引退されて、今は、マティウスさんという方が大司教をされている。かなりの
他には、キーロン大司教ジークフリートさんが亡くなられて、エングルトさんという方が、キーロン大司教になった。で、この方は、良く知らない。
さらに、フォルト
僕と、カール
で、今のフォルト宮中伯は、ランドルフ1世さんの息子の、アーノルド君、22歳だそうだ。しかし、後見人としてロートレヒ君が
まあ、こんな感じで、選帝侯会議の
そして、僕の提案は、あっさりと承認されたようで、僕のところに知らせが来た。そして、帝国議会出席の為に、僕は、ヴァルダを出発する。
皇帝近衛団を率いて、フローデンヒルト・アム・マインへと向かった。フローデンヒルトでは、議長である、ミハイル大司教マティウスさんの出迎えを受け、さっそく、帝国議会での採択を目指した。
そして、
「マインハウス神聖国皇帝グルンハルト1世陛下より、提案のありました帝国法は、帝国議会によって承認されました」
こうして、帝国法が公布された。皇帝としての命令ではなく、マインハウス神聖国の領邦諸侯が決めて
帝国法自体は今まで
例えば、マインハウス神聖国の領邦諸侯同士で争わないようにしましょうとか、マインハウス神聖国の君主は、選帝侯会議にて選び、帝国議会で承認する。とか、その程度だった。
で、僕が、加えたのは、一つは、
さらに、帝国書記官という
まあ、今までは、領邦諸侯の集合体であり、そこまでマインハウス神聖国としての活動は、少なかったが、ランド王国が
で、最後だが、マインハウス神聖国皇帝に関してだった。今までは、神聖教教主によって、マインハウス神聖国皇帝となれるかどうかが決まっていたが、これを、皇帝の
というわけで、今後は、マインハウス神聖国の君主は、全員が、皇帝となれるように帝国法に
「うん、これで、よし」
こうして、やるべき事を終わらせた僕は、のんびりとした日々を送る。
月日は流れ、1328年の事だった。セーラの
フェラード4世さんこそ、50代まで生きられたが、フェラード4世さんのお父さんは、40歳で。そして、フェラード4世さんの息子さんは、長男のロイ君が、27歳の若さで、三男のシャロロ君も28歳で、さらに、今度はフェラード君が、36歳の若さで亡くなられた。
僕より先に若い人が亡くなるのは、
僕と、エリスちゃんは、あまり護衛を連れずに、ランド王国ルテティアへと入った。フェラード君の
フェラード君と、セーラの間には、子供が3人いた。だけど、全て女の子だった。そこで、問題となったのが、ロイ君から、フェラード君に王位が
まあ、一度サリカ法典を盾に、女性の王位継承を否定したのに、今度はオッケーというわけにはいかず。シャロロ君も、女の子が1人しかいないというわけで、男子直系は
「セーラ、大丈夫なの?」
ルテティアに到着して、王宮に入ると、さっそく、元王妃となったセーラに会う。そして、エリスちゃんが、心配して声をかけたのだが。
「お父様〜、お母様〜、わざわざ遠くまでお越しください〜、ありがとうございました~」
「いやっ、僕達の事は良いんだよ」
「私ですか~? 私は、大丈夫ですよ~。少し
えっと、少しなのか?
「そ、そうか?」
「はい〜、旦那様は、少し前から
うん、セーラは強いな~、尊敬するよ。葬儀の準備などをテキパキこなす、我が娘を見て、あらためて、見直したのだった。
そして、カールもその相談相手になって、共に働いていた。
カールは、12歳になっていた。相変わらず可愛らしい顔立ちだが、体は
「カール、ランド王国はどうだ?」
「
「そうか」
カールにとっては、とても良い留学だったようだ。
「それで、これからどうするのだ?」
「はい、叔母上もルテティアを離れ、ブルニュイに行かれるようなので、僕も、ルテティアを離れ、ダリアに行こうと考えております」
「えっ、セーラは、ブリュニュイに行くのか?」
「はい、聞いておられませんか?」
エリスちゃんが、後で、セーラとその事で話したそうだ。セーラ
エリスちゃんは、ヴァルダに帰って来ることも説得したが、セーラは。
「娘達がやっぱり一番ですよ~」
だそうだ。
こうして、セーラは、フェラード君の葬儀が終わると、ブリュニュイ公国へと移り住んでいったのだった。そして、後になって、セーラの娘達は、ブリュニュイ公や、フランダース伯等と結婚して、子孫を
で、ランド王国の後継者だが、フェラード4世さんの弟、ブランズ伯チャルロさんの子供である、フェラード6世が35歳にて、即位して、これよりブランズ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます