第155話 ミューゼン公国の争いと新世代の息吹②
カール
それよりもだ。僕は、
「今回のヴィナール公国軍に対する、
「なっ、それは……」
「そのような事を……」
「……」
三人とも、
僕は、
「
ヤルスロフさんが、こう言うが。
「しかし、確かに。良い考えかと」
パウロさんは、こう言い。ヤン君は、コクコクと
「それで、次期ボルタリア王なのですが……」
パウロさんは、次の王を誰にするかを聞いてきた。
「パウロさん、やる?」
「何を、言ってるんですか!」
パウロさんに、怒られた。
「まあ、ジーク様、
ヤルスロフさんの言葉に、ヤン君がコクコクと頷く。
「まあ、そうなるね。だけど、大丈夫かな〜?」
いやっ、辞めるって言った、僕が言うセリフじゃないけど。
「それは、大丈夫でしょう」
ヤルスロフさんは、パウロさんを見ていた。ヤン君も、パウロさんを見ながらコクコク頷いていた。
そう、パウロさんが宰相として、政治を
ジークは、まだ16歳。一応、政治の表舞台には立てるが、
「そうだね、パウロさんが居れば大丈夫か〜」
「はい、それよりもです」
パウロさんが、何か口を開きかけたが、すぐ閉じて、ヤルスロフさんの言葉に耳をかたむけた。
「結婚相手です」
「誰の?」
「ジーク様です」
「まだ、早くない?」
「いいえ、早くはありません。ボルタリア王になられるのですから」
「そういうもんかね~」
「はい」
そういうもんらしい。ジークは、まだ16歳。身体はかなり大きくなって、僕なんか子供に見えるぐらいだ。だけど、精神は子供という気がするが……。
僕が結婚したのは、
「ボルタリア王として、ボルタリア
ヤルスロフさんが、
「分かったよ。で、誰か良い人いる?」
「えっ、それは、広く意見を聞いてですな~」
というヤルスロフさんの言葉を受けて、ヤン君が。
「では、まずは、大臣達や、
「おお、それは良いです」
ヤルスロフさんが、目を輝かせてヤン君を見る。
「そう。じゃあ、
「はい」
というわけで、会議が開かれたのだが、
「それならば、マリビア辺境伯カレン殿の
「おお、確かに」
「なるほど」
始まってすぐに、チルドア候ヤンさんの意見が出て、多くの
えっと確か……。僕は、ボルタリア王家の血を思い出す。先代のヴェーラフツ3世は結婚していないので、子供がいない。そして、先々代のカール3世さんは、子供はヴェーラフツ3世だけだった。
先々代のカール3世さんのお父さんのカール2世さんの娘さんが、クリエナさんとアネシュカさんで、そのクリエナさんが、マリビア辺境伯カレンさんのお父さんリンジフさんと結婚した。
まあ、リンジフさんは、先代の王、ヴェーラフツ3世の暗殺事件の犯人でもあるのだが……。
そして、アネシュカさんは、叔父様とお母様の弟である、叔父様の暗殺犯のお父さんである、ヨハネさんと結婚した。まあ、この家系は、二度と歴史の表舞台に出てくる事はないだろう。
まあ、それは良いとして。
僕には、ボルタリア王家の血は入っていない、エリスちゃんのお母さんが、ボルタリア王家の人間だ。カール3世さんの、さらに先代の王、ヴェーラフツ2世の娘さん。
という事は、エリスちゃんが、ハーフボルタリアで、ジークは、クォーターボルタリアか? で、相手もクォーターボルタリアかな? まあ、血が近すぎるって事もないのか?
「私の娘ですか? そのような、おそれ多い……」
カレンさんは
「おそれ多いなんて事はないだろ?」
ヤンさんの言葉に皆が
「カレンさん」
「は、はい」
「娘さんの名前は?」
「ルシェリアと申しますが」
「そう。年齢は?」
「18になります」
ジークよりは、2歳年上だ。エリスちゃんと僕と同じ感じだ。
「そうなんだ。決まった相手がいるの?」
「いえっ、そんな相手はおりません」
「だったら、そのルシェリアさんが、良ければジークの相手にどうかな?」
「はっ、そ、それは……」
カレンさんが、言葉につまっていると。
「なかなかの
と、ヤンさん。
「いえっ、決して、そのような事は」
「ハハハ、なら、決まりだな」
こうして、ジークの結婚相手が決まった。ボルタリア王家の血を引く、マリビア辺境伯カレンさんの娘さんで、ルシェリアさん。
そう言えば、ジークよりセーラの方が年上か〜、結婚相手考えた方が良いのかな〜? まあ、あんな性格だし、
こうして、1310年の事。ジークのボルタリア王即位と、結婚の準備が始まった。まあ、僕は何もしないのだけど。
エリスちゃんや、まわりの方々が
「父上と母上は、恋愛結婚だったと聞きます。俺も、自分のこの目で選んだ相手と結婚したかったです」
「わがまま、言わないの。僕とエリスちゃんだって、恋愛結婚というわけじゃないよ」
「ですが……」
「確かに、お互いこの人と結婚出来たら良いな~、って相手だけど。御祖父様の
「そうなのですか、母上の……」
「まあ、仕方ないね。一応、名門の貴族に産まれたんだからね」
「はい、かしこまりました。父上」
「まあ、ボルタリア王家の方々は、
「えっ、そうですか!」
あからさまにテンションがあがる、ジーク。
大丈夫かな、ジークは?
そして、マリビア辺境伯カレンさんと、その奥さん、そしてルシェリアさんが、マリビア辺境伯領のオルミッツからやって来た。
まずは、顔合わせのような感じで
そんな初日に、六人のみで対面する。マスターの料理で、カッツェシュテルンでなんて出来ないから、ヴァルダ城の
「お初にお目にかかります。マリビア辺境伯カレンが長女ルシェリアです。以後、お見知り置きをお願いいたします」
う〜ん、さすが、カレンさんの娘さんだ。
「は、おほん、お初にお目にかかる。マインハウス神聖国皇帝グーテルハウゼンが長子、ジークハウゼンである」
ジークが、
全く、単純なんだから。
さて、全員の挨拶が終わると、楽しく
そんな時だった。ルシェリアさんが、ジークに話を振る。
「ジーク様は、どのようなボルタリア王国を目指されるおつもりですか?」
「えっ」
う〜ん、これは政治を動かした事ないと、分からないだろうな。
「ルシェリアさん。ジークは、まだボルタリア王国の政治に
僕の言葉に、ルシェリアさんは、
「大変失礼しました。そうですね、かしこまりました」
そう言って、ルシェリアさんは謝る。
精神年齢は、女性の方が高いもんね。だけど、若いよね。ルシェリアさんも。エリスちゃんは、こういう時、昔から馬鹿にもなれる。
イタタタタ!
いやっ、エリスちゃんは、馬鹿だって言ったわけじゃないよ。
「そうだ。ジークは、
「はい、母上」
ジークは、そう言って立ち上がる。
「剣技ですか。強い男性は
ルシェリアさんも、同じように立ち上がると、ジークの後ろをついて出て行った。
すると、カレンさんの奥さんがため息をつく。
「は〜、申し訳ありません。誰に似たのか、ああいう子でして」
ああいう子っていうのは、どういう子だ?
「仕方ありませんよ。同世代の男性が、頼りなく思える時は必ずありますし、結婚するんです。この人、大丈夫かな? なんて不安に思うもんですよ」
だそうだ。エリスちゃんも、不安だったんだろうな~。
「そうですわね。確かに」
カレンさんの奥さんは、そう言って、チラッとカレンさんを見る。カレンさんの顔が一瞬くもる。
この後も、
「陛下に、何か失礼な事、しましたでしょうか?」
カレンさんの声が、聞こえる。
「いえっ、グーテルさんは、話に
「そうですか」
だそうだ。
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