第3話 グータラ殿下の優雅?な一日②
さて、領主の仕事だが、それは、領内の
これらを
「では、殿下よろしくおねがいします」
コーネルは、少し
これが、大国だとすさまじい量の仕事量なのだろうが、運の良い事に大国でもないし、田舎だし、治安も良い。そして、領民も
まずは、一番量の多い書類に目を通す。これは、承認のサインをすれば良いのだろうが、ただ、サインをして、コーネルに全財産を
なになに。どうやら今日は、結婚の承認が多いようだ。結婚の許可は、
だから、領民も貴族も、王族も神聖教を国教とする国では、
我が家は、裕福な大貴族ではないので、お父様の妻は、お母様のみ。そして、子供も僕一人。だから、甘やかされて、こんな風に……。もとい、大事に育てられたので、こんなに、立派に育ったのだ。
おっと、話がそれた。神聖教会の許可が下りて、それを領主が承認するのだが、神聖教の教え的には大丈夫でも、マインハウス神聖国の法律や、ハウルホーフェ公国の法律にのっとり、承認をする。
これは、主に身分差がありすぎるとか、他の国の人との結婚とか、犯罪歴のある人との結婚とか、色々うるさいのだ。
家臣や、
領民は、本人達が良ければ、一応、親の
それで、領主にとって、承認に重要なのは、労働力が減少してしまうかどうかなので、男性が国外の女性と結婚するために、国外ヘ行くということにはうるさい。後継ぎが長男なら長男の移動は無理だし。後継ぎのいる家の次男とかも、厳しいそうだ。三男、四男と自由になっていくが、かえって仕事を見つける方が大変そうだ。
まあ、我が国はそんなにうるさい方ではない。そんなに大きい
話が長くなった。え〜と。僕は、書類を確認する。ヘーデ村キンドラのリューゼとヘーデ村ロイドルのミルシュ。これは、村の名前、家主の名前、結婚する人の名前となっている。ようするに、この場合ヘーデ村のキンドラさんの息子のリューゼと、ロイドルさんの娘のミルシュが、結婚するということになる。
え〜と。僕は、ヘーデ村を思い浮かべる。多分、普段から仲良く仕事している、あの二人だろうな。よし、はい承認っと。僕は、スラスラと書類にサインして、書類をコーネルへと渡した。
さて、次は、エノール街オーベルのシュテルンと、フルーゼン街リンゼイのフューリー。フルーゼンの街は城下町だし、フューリーさんは、良く知っている。
と思って、年齢の所を見ると、フューリーさん。年下だった。大変失礼しました。これも、承認。
こういう感じで、サインを書いていく。結婚の承認とか、関税の報告書などにサインを済ませ。承認のサイン書きの仕事は終わり。ちゃんと読んでたので、1時間以上経過した。
コーネルは、真剣な表情で、サインを確認したり、再度、書類の確認をしているが、斜め後ろで、フルーラが退屈そうにしている。
「フルーラ、退屈なら、どこかで休んでても大丈夫だよ」
「いえ。退屈なように見えましたでしょうか? 申し訳ありません。私の任務は護衛です。休むなどと、とんでもありません」
「そう。なら、良いんだけど」
僕は、再び正面を向き、書類を見る。
次は、少し考えないといけない書類だ。え〜と。おっ、これは僕も行きたいな。
どうやら我が家の騎士達が、およそ一週間後に、訓練も兼ねて
領主や、諸侯、家臣、騎士団などが行う狩猟は、規模が違う。そこで、捕る
僕は、自分の名前と、フルーラ、そして、もう一人の名前を加え、少し獲物の量を増やしてサインし、コーネルに渡す。
「殿下も行かれるのですか? まあ、良いとは思いますが。お気をつけて。獲物の量も妥当でしょう」
「良かった」
コーネルからの承諾も得て、およそ一週間後の狩猟に、参加出来るようになった。
このような書類に、コーネルのアドバイスで書き加えつつ、サインをして。
最後は、裁判と言うと
まず一つ目は、アメールガウ村のスルツという
「これって、正規の書類なの?」
「はい、その当時のハウルホーフェ公のサインが書かれておりましたので、正しい書類かと」
「そう。う〜ん」
コーネルの返事を聞き、一応考える。さて?
すると、コーネルは、
「過去の
と言うが。
「知ってて勝手に使ってたならそうだけど、そうじゃないんでしょ? お金取られて、土地奪われて
「ですが。過去の判例では、そうなので」
僕は、本格的に考えこんだ。
「そうだ。その畑の周囲に余っている土地無いの?」
「田舎の村ゆえ、あるとは思いますが」
「だったら、その土地の耕作を認めるってどう? 訴えた方が、それで納得するならその土地は、訴えた方が使う。納得出来ないなら、境界を正規に戻した上で、その土地は、訴えられた方に与える」
「なるほど。それなら双方損をしませんな」
「そう。過去は水に流し、前を向いていかないとね。隣の人と争ってもしょうがないでしょ」
「殿下。意外とちゃんと考えておられますな。では、早速、殿下の言葉も加えて
コーネルは、満足そうにそう言いつつ、鈴を鳴らし、外で控えていた家臣に伝言させるが。
「意外とちゃんとだって」
僕は、隣に立っていた、フルーラに声をかける。すると、フルーラは、
「いえ、わたしは、殿下の才能を存じております。やる気が無いだけなのです」
そう言いながら、涙を流して感動している。
「あっそう」
やる気が無いだけね~。
で、最後は、
「ハウルホーフェ家の家臣と、公国諸侯のファルハルト男爵家の家臣との
「レッツ ファイト」
僕は、手をクロスさせながら、そう言うと。
「殿下。戦わせては駄目です。さすがに」
と、コーネル。
「だけど、
と、フルーラが、
「ますます遺恨が深くなると思うのですが?」
「そう?」
僕が言うと、コーネルは、
「はい。で、過去の判例ですと、
「そう」
僕は、少し考えてみるが、他に良い解決策は思いつかなかった。
「そうだな。じゃ、それで。ただし、ハウルホーフェ家の家臣は、ファルハルト男爵領で、ファルハルト男爵家の家臣は、ここの広場でむち打ちね」
「なるほど。お互いの見せしめですな」
「まあ、喧嘩しちゃだめよって事でね」
「分かりました。では、早速。殿下、今日の政務は以上です。お疲れ様でした」
こうして、僕の仕事は終わった。2時間以上かかって、時間は、正午を過ぎていた。
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