第41話 王妃様からの依頼4
王城に着くと、王妃様の歓迎を受けた。
そして、S級冒険者の話が出て来た。S級冒険者として認められるには、数年の実績と他国への派遣が必要なんだそうだ。実績は、十分みたいだけど、活動期間が短過ぎるらしい。
竜の卵の捕獲は、それほどの実績だったみたいだ。ちなみに、帝国の貴族が、国家予算クラスの金額で競り落として持ち帰ったと聞いた。
『アウレリアさんみたいに動けなくなるのは、避けたいな……』
先を考えると、自由時間は欲しい。
まあ、今考える事じゃないか。獲らぬ狸のなんとか、とか言うし。この国の冒険者では、『狩りの前に素材の話をすると、矢が当たらない』なんだな、これが。
S級冒険者は、話が来てから考えよう。
今は少し、休憩してから、また活動を再開しよう。功績は、地道に稼げばいいはずだ。
住む場所は、王城に部屋を貰えてるのだし、お金を使う場所もない。
疲れが抜けたら、剣と魔法の練習をしよう。
食事に舌鼓を打ちながら、考えていた時だった。手の込んだ美しく美味しい料理に魅了されて、思考が鈍っていたのかな。
「それでなのですが、リディアさん、
「ごふ……、えっ!?」
休憩なし? アウレリアさんは、常に動き回っているけど、私も?
この後、私は王都近くの
◇
「何気に、
「道案内は、我々が行います。リディア嬢は、とにかく魔物の駆除をお願いいたします」
王妃様の直属部隊の人達……。かっこいい事言ってるけど、仕事が逆じゃない?
まあ、いいんだけど……。ちなみに直属部隊は、ノアとは関わっていない人達で構成されている。まあ、王妃様の私兵かな。
アウレリアさんに対してもこんな感じなのかな……。ドーラさんは、嫌気がさしたんだろうな。
こうして、
「……昆虫族の
うう……、虫は嫌だな。苦手だけど、私が最前面に立たないとこのパーティーは進めない。
霰魔法で雪の
昆虫は、寒さに弱いのが鉄則!
私の
素材は、案内役兼護衛が回収してくれた。マジックバッグ持ちみたいだな。
これも、王妃様の狙いなのかもしれない。
資金回収にも、役に立っているんだろうな。
「それにしても、魔物が多いわね……」
私は、
辺境にいた頃は、1対1を基本としていたので、多対多というのは、慣れないな。
まあ、実質一対多なんだけど……。
陣型の霰魔法を覚えていなかったら、手強かったかもしれない。
ここで、私の精霊の目が反応した。
「……見つけたかも?」
その場に駆け寄ると、3人が結界の中で休んでいた。良かった、生きてた……。
急いで、応急処置を施して行く、王妃様の直属部隊の人達。これも立場が逆な気がするな。まあ、私は、回復魔法は覚えていないんだけど……。
私は治療は任せて、近づいて来た魔物を屠った。
「これで、終わりですよね? さっさと
今なら帰り道には、魔物は出なと思うわ」
手当てを終えたのを確認して、私は立ち上がった。
だけど、ここで思いがけない意見が出た……。
「依頼が出ている行方不明のパーティーは、3組になります。
嘘でしょ……。
◇
その後、一層の最奥まで進み、3組目の冒険者パーティーを救出した。
帰りは大変だったな。もう大乱闘だった。魔力石もギリギリ持った。切れてたら、危なかったな。
それと、千匹を超える魔物の素材だ。
王妃様の資金源になり、また、王妃様の直属部隊の給料になるらしい。
皆、ホクホク顔だ。
ちなみに、今回同行してくれた人達は、本来後方支援担当とのこと。今主力隊は、出払っていて人手不足らしい。
アウレリアさんは、どんな依頼を熟しているんだろう……。
「ありがとうございます。助かりました」
助けた3組の冒険者パーティーが、頭を下げて来た。
「ちなみにですけど、なにがあったのですか?」
「突然、とても強い魔物がわいて、逃げ回っていました。それと同調して、魔物の数が急激に増えて……。逃げ切ったパーティーが、ギルドに連絡してくれたんだと思います」
そういう事か……。
「倒しておいた方がいいかな? この
でも、この場合は冒険者ギルドで請け負う仕事なのかな? 私も冒険者の端くれだったので、討伐依頼を取られて揉めた事もあったから、出しゃばるのも良くないって知っています」
「……先ほど、リディア嬢が倒されていましたよ? 気にもされませんでしたか? 有象無象の中の一匹でしたか?」
護衛の一人が、蜘蛛の魔物を取り出した。
3組の冒険者パーティーが、その魔物を見て頷く……。
え? これなの?
……あれ? 私の強さがおかしい?
◇
また、王城に帰って来た。
そして、王妃様の熱い歓迎を受ける。これから、この繰り返しになるのかな?
メイド付きの入浴と、豪華な食事が出された。
……また、なんかありそうだな~。
でも、ここは笑顔で食べる。いいように使われているだけかもしれないけど、今は功績を稼ぎたい。
「う~ん。美味しい~」
食べた事のない豪華な料理は、心を満たしてくれる。
それと、王妃様とのお茶会だ。毎回、甘いモノが出て来る。
あれ? 私……、餌付けされてる?
でも、たまにはメグのお店に食べにも行きたいな……。
そんな事を言える暇もなく、また依頼が来る。
王妃様の直属部隊ってどうなってるの?
というか、今国中で魔物の問題が、発生している事を知った。
この数年、魔物が異常なほど増えているらしい。
アウレリアさんとドーラさんには、たまに王城で出会う。一晩情報交換をするだけで、二人はすぐに旅立って行ってしまった。
私には、王都近くの比較的優しい討伐依頼のみが来ているみたいだ。
まあ、新米A級冒険者だし? 高難度とかは、避けたいのもある。
でも……、竜種に挑んでみたいのもあるな。それと、変異種とか。
二人が持ち込んだ素材を見て、ため息が出た。
こんな生活を送りながら、数ヵ月が過ぎて行った。
◇
「今日も討伐頑張ろう」
そう思っていたら、意外な話が出て来た。
王妃様から手紙を渡された。
「……アイスメイル侯爵様が、私を召還ですか? しかも命令?」
「断っても構いませんよ?
思案する。何故、今頃呼ぶのか……。
一つ思い当たるのが、母親かな。
「理由如何によっては、行かないといけないのですけど……」
「推測するに、リディアさんが王家の直属部隊に入ったので、膂力の確認をされるのだと思います。
アイスメイル侯爵は……、有能な人材には敬意を払うので、呼び戻す気かもしれません」
「アイスメイル侯爵様を知っているのですか?」
「王家と侯爵家ですからね。それなりに、親交はあります。リディアさんの事も聞いてはいました」
それは、そうか。
それと……。貴族令嬢が家を出るのは、王家にまで伝わるんだな。
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