第27話 王都1
王都に着いた。というか、王城に着陸したんだけど? 他の飛空艇は、郊外に発着陸場があるので、この飛空艇は、王家所有なのかな?
飛空艇の船員達は、慌ただしく整備を始めてしまった。特に動力部分をばらし始めた。
長距離を短時間で移動できると言っても、まだ試作品の段階なのかな?
「飛空艇が気になりますか?」
「……いきなりバラし始めたので、なにかあるのかなって、思っただけです」
「ノアが、技術を授けてくれたのですが、まだなんとか飛べている状態なのです。
長期間耐えられる材料も見つかっていませんし、燃料も魔力石を大量に消費するので。
でも、物資を運ぶのであれば、採算は取れています。
整備は、王都でしかできないので、各国と王都を定期的に往復するだけに止まっていますが、将来的には、技術を確立させて商人にも売り出そうと考えています」
ノアが、これを……ね。治療や武器防具だけでなく、乗り物も作れるんだ。
知識量が違うのかな……。生きてる世界が違う気がする。
「今日は、アウレリアさんが使って良かったのですか?」
「ノアの興味を引けるんじゃないかと、王妃様に言われていて。私の移動は、ほぼ飛空艇になります。
飛竜やワイバーンを【テイム】した騎乗獣もいるのですが……。
まあ、次に行く場所には、支援物資が大量に必要なので、今回は問題のない使い方になります」
次に行くところが決まっているんだ。
S級冒険者は、忙しそうだな。それでも、時間を割いてノアを探しているんだ。
「それでは、リディアさん。会って欲しい人がいます」
「はい! どなたですか?」
「捜索隊の発起人である、王妃様になります。それと、国王陛下も同席なされるかもしれません。まあ、政務次第ですけどね」
「はい? 国王陛下?」
◇
今私は、王城の応接室で座って待っている。
20人は座れそうなテーブルの前で……。
ここって、政務室じゃないのかな? かなり広い。
アウレリアさんは、何処かに行ってしまった。
私の背後には、メイドさんと鎧を着た兵士が一人ずついる。監視されているのかな……。
扉が開かれた、私は立って出迎える。
豪華な服を着た、30代だと思う女性が、入出して来た。アウレリアさんも一緒だ。
一礼して出迎える。
「この国の王妃になる、メリンダ・ラケドです。あなたが、あの人の新しいお弟子さんなのね……。随分可愛らしいこと」
なんか言葉に棘がない?
その後、アウレリアさんと3人で席に着く。
メイドと兵士は、退室してしまった。今は3人だ。
「さて……、リディアさんでしたね。アウレリアには、任務が詰まっているので、本題から入ります。
今はノアと名乗っているみたいですけど、私達は、彼に恩を受けています。それで……、お返ししたいと思い、彼を探しています。でも、会ってくれずに、もう何十年も逃げられている状況です」
「何十年……、ですか?」
「帝国の王太后様は、もう70歳になりますので……」
ノアは、そんなに生きているんだ。本当に人じゃないのかもしれない。
「それと、連邦の建国時にも活躍しており……、助けられた妃がおります。各国の交流会で、話題となり、捜索隊を組むことになりました。でも、かんばしくないのが現状になります」
「ノアの行きそうな場所は、把握しているのですか?」
「魔物の変異種を狩っているみたいです。特に竜種ですね。そして、素材を売り払って生活しているみたいです。ある錬金術師に竜の素材が一頭分届けられたそうなのですが……、ノアの事はそれほど知りませんでした。薬の調合が間違っていると言われただけと言っていましたし」
それは、風竜の討伐から、推測できる。
「それと、錬金術師や薬師の人達へ、素材を送っているみたいです。おかげで、この数年は、疫病も発生していません。
また、技術力も飛躍的に発展しました。まるで、戦時中くらいの速度でです」
あいつ……、恩を売りまくっているんだな。『名乗り出ていない姉弟子や、妹弟子がどれだけいるかも分からない』と言ったのが、理解できた。
「私みたいな、冒険者として指導を受けた者は、何人くらいいるのですか?」
「……確認できるだけで数人ですね。本当に才能のある人物にのみ、指導を施しているみたいです」
私は、認められたのかな?
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