第17話 実践訓練
今私は、飛翔しながら魔物を探していた。
今日はノアも飛んでいる。二人で、飛翔しているのだ。
「……見つけた。3匹!」
私は、魔力を溜めて、風魔法を発動させる。
真空の刃が、魔物達を切断した。
「お見事!」
ノアが賞賛を送ってくれる。
正直、にやけてしまう。
ノアが地上に降り立ち、魔物に触ると、魔物が消えて決まった。
そして、また飛び上がり私のところに戻って来る。
「……魔物を回収したのよね? どこに持っているの?」
「空間収納だよ。亜空間を作成してその中にしまう
良く分らないけど、便利な
私も覚えられるかもしれないし、今度教えて貰おう。
「それとだけど、攻撃方法が良くないね」
「風魔法の飛ぶ斬撃が、悪いの?」
「う~ん。防御型や盾役には、効かないかな。リディアの場合は、近接戦闘で盾を切り裂く方が合っていると思う」
「……私は、近接アタッカーが向いているのね」
「単純にそうとも言えない。ここまで自由に飛べるのだし……。飛翔を生かした剣士……かな?」
ノアは、なにが言いたいのだろう?
イメージがわかないんだけど?
「まあ、今日は討伐数を稼ごう。この数日の特訓の成果を確認したい」
「目標数は?」
「100体だと、狩り過ぎかな。生態系に影響が出るね。50体にしようか。それと魔力石を渡しておくね。魔力切れに注意してね。即死しかねないので」
「了解!」
普通に返事しているけど、ありえない数字だ。
怪我をする前の私は、3体が限度だったんだけどな……。
でも今は、できると思えてしまう。
確信がある。
『私は、成長できている……』
その後、街から離れた森の中で、狩りを行った。
◇
「あれ……、変な魔力。それと、大きいし重い足音がする」
順調に討伐数を稼いでいた時だった。私の眼と耳が反応した。
森の中で、変な個体を見つけたのだ。ノアが見たいと言う事なので、二人で降りて近づく。
魔物は、私達を視認すると威嚇して来た。無警戒すぎたかな?
視線が合うと、襲って来たので、まず前足を切り裂く。次にカウンターで、後ろ足を凍らせた。
最後は、倒れるように噛みついて来たので、頭から剣を振り下す。
「この熊、見たことないわね。
「ちょっと、変異しているね。リディアが真っ二つにしちゃったので、素材の価値も半分かな。肉は……、分からないや。食べられるのかな?」
「素材って、何に使うの?」
「見た目が悪くなるけど、毛皮は〈斬撃耐性〉があるんだ。それと、防寒具にもなる。北方の寒い土地に持って行けば、高値で売れるよ?」
目の前の熊を見る。切り刻んでしまっていた。
首を刎ねればよかったかな……。
でも、〈斬撃耐性〉があったようには見えなかったな。
すんなりと、刃が入ってしまったのだ。
この剣が凄いのか、私の風魔法が急激に成長しているのか……。
「リディアは、魔力感知に優れているね」
突然、ノアに言われた。顔を上げる。
「え……、そうなの? バレッタを着けてから、感覚が鋭くなった気はするけど……」
「うん、潜在能力的に優れていたんだよ。
考えもしなかったな。ずっとソロだったから、
そっか、私の風魔法を使えば、別な道もありえたんだ。
右腕を怪我したけど、足で情報を得る。弓や弩で仕留める……。
当たり前過ぎることに気が付いていなかったのか。
「それと、氷魔法だね。攻撃よりも防御だよ? カウンターを狙うとかね」
……それは、分っていたけど。父親のスタイルは真似たくなかった。
それと、妹の大規模魔力を見たら……、同じ戦法は取れないじゃない。
「……氷魔法の訓練はしないの?」
「そうだね。風魔法はかなりいいところまで来てるから、次は氷魔法も見てみようか。でも、幼少期より訓練してるんだよね? 考え方次第かもしれないね」
何時もながら、ノアがなにを言っているのか分からない。
私の氷魔法は、実用に乏しくて使わない事に決めたのに。
さっきの、
風魔法は、当たれば切断できるんだけど、氷魔法には殺傷力が乏しいと感じていた。でも、考え方次第?
「…………!?」
「リディア……」
「うん!」
ここで、なにかが近づいて来た。明らかに威圧感が違う。
ノアが構える。
私は、飛翔して上空から迎撃態勢を取った。
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