[17]

大学受験の時期になり、香絵ちゃんとは、同じ大学の、同じ学部をいっしょに受験する感じになったの。1人でなくて、2人でいっしょに受験の対策が出来て、めっちゃ良かったわ。

結果的に、関西の同じ私立大学の、同じ文学部に2人とも合格出来て、いっしょに同じところに進学できるなんて、何だか、めっちゃ縁を感じる。

香絵ちゃんとボクの合格した大学は、芸術大学ではなくて、文学部なので、そこで2人とも、美術史でも勉強しようかなと話している。


イレーヌちゃんは関西の芸術大学に合格して、そこに進学することになった。

家で、イレーヌちゃんとボクの合格祝賀会を家族でやった。晩御飯の時に、デザートでケーキが出てきて、みんなで、シャンパンで、合格おめでとう!と、お祝いしただけなんだけども。でも2人とも、合格できて、嬉しい。


その晩、イレーヌちゃんが、ボクの部屋のドアをトントンってノックして、入って来て、「今日は、おふとん並べて、いっしょに寝てもいい?」って聞いてきた。「いいよっ!」てボクは答えて、それから、部屋で、イレーヌちゃんといっしょに絵画とか、色んな芸術について、語り合って、そのあと、ふとんを並べて、いっしょに寝た。

そしたら、やっぱり、部屋にいる、霊の女の子が、ふとんの上から2人に、乗っかってきた。イレーヌちゃんも、それを感じていた。

しばらくしたら、2人の寝てる、ちょうど真ん中に、うっすらと女の子の姿が目に見えはじめてきた。女の子は、可愛い着物を着ていて、2人の真ん中で、同じように横になって、寝ていた。

女の子の顔も、だんだん、なんとなく、少しづつ、見えるようになってきて、そのうち、イレーヌちゃんとボクと同時に「あっ!」て声を出してしまった。香絵ちゃんによく似ていたのだ。

霊の女の子は、2人に向かって言う感じで、「おめでとう!」って言ってくれてるように感じた。それから、「さようなら!」って言ったように感じた。「わたしも、うちに帰るわねっ」て言ったような気した。


そのあと、だんだん、霊の姿がうすれていって、また見えなくなりそうだったから、ボクは「伊勢さん?」って声を出してみた。霊の女の子が、えっ?っていうような感じで、ボクのことを見て、それから、すぐ、フッと姿を消して、もう見えなくなってしまった。

イレーヌちゃんが「香絵ちゃんに、よく似た女の子だったね」って言った。ボクも、「そうだね。似てたよね」って答えた。

本当に若かりし頃の、まだ女の子の頃の、伊勢さんだったのかなあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る