「私は大丈夫です……よ？」

逆の立場、

つまりは、蜜柑が僕のことが見えなくなり、逆に僕からは蜜柑のことを見放題‼︎

という状況を想像させ、いかに仲の良い相手にもプライベートは必要だと思い至らせる作戦だったのだが、

蜜柑からの返答は僕の予想の斜め上を行った。

「嫌じゃ……ない？」

「ええ、嫌じゃないです」

迷いのない返答。

「一方的に見られるんだぞ？それもこちらからは見られていることに気づくことができないんだぞ？」

普通そんな状況嫌だ。

どんな人間にも見られたくないことや、知られたくない秘密はあるもの、

それを全て晒すことにはかなりの勇気がいるのだ。

「私だって、知らない人からは嫌ですけど、アキ先輩になら、大丈夫です」

照れを感じさせるトーン。

だが、強い意志を感じる。

そこまではっきりと言われると返す言葉も無くなる。

……むしろこちらまで恥ずかしくなってきた。

「……まじか」

「まじです」

「そうか……」

「むしろ興奮します」

………。

「お前そこまで……」

自分で言うのもなんだが、

どうやら、我が後輩、柚木蜜柑は相当僕への想いを拗らせていたようだ。

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