蜜柑が死んだ。

蜜柑が死んだ……。



昨日、いつもと変わらず僕に飛びついてきていた蜜柑が?

あの元気だった、あんなに眩しい笑顔で僕を呼んでいた蜜柑が……?


思考がまとまらない。



最後に頭によぎるのは昨日、あの後……

僕が蜜柑を振った後?


あの後蜜柑に何があった?

「……なんで?」


ボソリと口から出たのは疑問符。


確かに僕は蜜柑からの告白を断った。


それがショックでまさか自殺?

いや、


明るい性格のあいつに限ってそんなことはない。


だって、最後には笑って言ってたじゃないか。


『また明日』って、


『これからも友達として変わらず仲良く』って、


なら事故?


僕がついていなかったから?

僕が……

僕が蜜柑からの告白を受け入れていて一緒に帰っていたらこんなことにならなかった?



いや、これはきっと夢か何かだ。


母は冗談を言って僕を驚かせようとしているんだ。


全く、いくらなんでも言っていい冗談と悪い冗談があるぞ。


「母さん、いくら僕が起きないからってそんな冗談言うなよ、いや、目は覚めたけどさ」


「冗談なんかじゃないわよ‼︎今柚木さんのお母さんから電話があって、朝蜜柑ちゃんの部屋に入ったら……蜜柑ちゃんが……亡くなってたって……」


言いながら目を見開きボロボロ涙を流し出す母。


その様子から、母が冗談を言っていないことは分かった。


「……原因は?」


「分からない、でも蜜柑ちゃんの枕元には睡眠薬があったらしいから……多分……うううぅ……」


……自殺。


睡眠薬……?


そう聞いた途端、頭をよぎるのは昨日、別れ際に蜜柑が言っていた


『この後寄るところがあるので……』


蜜柑は普段寝つきはいい方だった。

睡眠薬なんて常備しているとは思えない。


なら、考えられるのはやはり昨日あの後薬局へ行って買った。

そして夜……


つまり原因は


「僕がついていなかったから……?」


“そうですよ?先輩……”


そうどこからか、蜜柑の声が頭に響いた気がした……。

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