特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

第21話 狩人は狩られ、そして狩ろうとする

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「ここが晴翔様の部屋です」

「ひ、広いですね」

「何か必要なものとかあればいつでも言ってくださいね！ひひ」

　大人しいリンぜさんと子供っぽいエリゼさんに案内されて入ったのは、とてもゴージャスで綺麗な部屋。魔法石の優しい光に照らされているのは、見るからに高そうなペルシア様式っぽい絨毯と高そうな家具一式。

　そして

「……」

　俺がベッドを見て訝しんでいると大人しいリンぜさんが問うてくる。

「どうかされましたか？」

「い、いいえ。この部屋って元々誰かが使っていたのかなって」

「この部屋は晴翔様のためだけに用意された部屋です」

「そ、そうですか」

「はい」

「あの……リンぜさん、一つだけ質問してもよろしいですか？」

「どうぞ」

「なぜベッドに枕が三つもあるのか、教えていただきたいです」

「……枕は多い方がいいと判断したので三つ置きました。ベッドのサイズも大きいのできっと気持ちよく眠りにつけると思います」

「そうですか……」

「はい」

　そう簡潔に答えるリンぜさんに戸惑っていると、元気のある声でエリゼさんが声をかけた。

「服も全部用意してありますので、大浴場で疲れを癒してください！」

「あ、ありがとうございます、エリゼさん」

　二人は「それでは」と言ってこの部屋から立ち去った。

「……なんだか落ち着かないな」

　そう呟いて、天蓋付きのベッドの方に行って腰掛けてみた。

「？」

　ベッドのすぐ隣に小さなサイドテーブルがあることに気がついて。そこには

　淡く光る蝋燭の光と、ガラス瓶に入っている薔薇が２輪。赤色と青色。本当に綺麗な花だな。そういえば、噴水周りには花壇があったし、どうやらメディチ家の人たちは花が好きのようだ。

　俺は頬を少し緩ませてその薔薇を見つめる。すると薔薇は優しい香りを俺の鼻に届けてくれた。この香りはおそらくずっと俺の脳に残り続ける気がした。そんな変な考えをしていると、あることに気が付く。

「お風呂……」

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「すごい風呂場だ……」

　心を落ち着かせるいい香りと湯気が合わさって夢幻的な雰囲気を漂わせる大浴場。道具一つとってもすごく高価そうだ。シャワーの数を見るに、ここはメイドたちが使う使用人専用の風呂場ではない。あの美人母娘だけが使っている浴場だろう。

　それに……

「お湯に花弁が浮いている……」

　本当にここ一人で使っていいの？

　そう思いながら俺は体を洗い、広々としているお湯に体をどっぷり浸からせた。

「はあ……生き返る」

　ずっと宿の狭い浴室を使わせてもらっていたから、こうやってお湯に浸かるのは実に久しぶりである。

　程よい香りと程よい湯気。そして宙に浮くような気持ちよさ……

「そうですね。お風呂は気持ちがいいんですよね？」

「っ！アニエスさん！？」

「ふふ」

「いつからここに！？」

　俺はびっくりしすぎて立ち上がった。

　すると、彼女は、

「あら、晴翔様……立つ意味あるんですか？」

「……」

「座ってくださいね」

　俺はアニエスさんの言葉を聞いて、大人しくまたお湯に浸かる。

　や、やばい……湯気が邪魔でよく見えないけど、おそらくアニエスさんは何も着てないと思う。

「それにしても……晴翔様はとても立派な体をお持ちですわね」

「……」

「ちょっと触ってもいいかしら？」

「い、いや……触るのは……」

「この間は、もっと恥ずかしいことしたから、これくらいいいじゃない？」

「……」

　アニエスさんの声音は色っぽいが迫力がある。だから、俺は彼女の言葉が醸し出す雰囲気に圧倒されて、黙りこくっていた。

　すると、アニエスさんは自分の細い指で俺の肩を触る。

「ふふっやっぱり、直接触った方がわかりやすくていいですね」

「……」

　アニエスさんは、鼻で甘美なる息を吐き、指を俺の胸、背中へ這わせる。

「こんなにいい体を持っている魔法使いの男性を見るのは初めてですわ」

「そ、そうですか……」

「ええ。他の貴族やハイクラスの魔法使いは、みんな魔法に傾倒して体を鍛えようとしませんですもの」

「なるほど……」

「その点、晴翔様は実に素晴らしいですわ。クラス５の召喚魔術師なのに、こんなに素敵な体で、背中も広くて、とても強くて……はあ……」

「っ！」

　アニエスさんが急に色っぽくため息を吐いて、俺の方に倒れた。俺は条件反射的に、アニエスさんが衝撃を受けないようにするために、腕でアニエスさんを抱き抱える。おかげで、アニエスさんの柔らかい体の全てが俺と密着した。や、柔らかすぎる……特に、マシュマロが……しかも濡れたピンク色の髪が俺の体に絡みついて……

「はあ……この体で、私の大切なアリスとカロルを守ってくれましたね……本当に……本当に……ありがとお……」

「アニエスさん！？」

　アニエスさんの様子が変だ。全身が赤くて、息を弾ませていて、目が完全いイっている。

　もしかしてこれは……

「のぼせちゃった……」

「やっぱり！」

　俺はいそいそとアニエスさんをお姫様抱っこしたまま、大浴場を出た。すると、

「あ、アニエス様と晴翔様！？！？」

「……」

　脱衣所でタオルの片付けをしていたメイドが、全身が真っ赤になったアニエスさんを抱えている俺を見てポカンと口を大きく開けて、固まった。

　そして

「はあ……はあ……晴翔様、熱い……ここはどこ？」

「おおおおおおおおおおお楽しみの所、お邪魔して申し訳ございませんでした！！！！！」

「いや！違います！これは……」

　俺は口を開いた時には、メイドさんの姿は見えなかった。

「……」

　とりあえず、アニエスさんに水を飲ませなければ……

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「今日は散々だったな」

　部屋に戻った俺は寝巻き姿でベッドに横たわっている。あれから、俺はリンぜさんとエリゼさんに助けてもらい、無事にアニエスさんを部屋に運んだ。二人曰く、アニエスさんはしっかりしていて普段こんなヘマをするような人ではないとのことだった。あと、二人とも、意味ありげな視線を俺に頻繁に送ってきた。別に後ろめたいことはなかったが、変な噂が立たないことを祈ろう。

　ちなみに、アニエスさんとアリスとカロルの部屋はすぐ隣だ。貴賓扱いだとしても、警戒心がなさすぎる気がする。

　それにしても……

『はあ……この体で、私の大切なアリスとカロルを守ってくれましたね……本当に……本当に……ありがとお……』

　この言葉が妙に耳について中々離れない。

「……何を求めているのかをちゃんと把握して、満たしてあげる……か」

　密かにそう呟いて、俺は明かりを消した。それから布団をかぶって

「寝よう」

　俺は短くため息をついて、重たくなった瞼を閉じようとする。

　が、

　誰かがこの部屋の扉を叩く音が聞こえてきた。

「？」

　メイドさんかな？アニエスさんの件で来てくれたかな？

　そう思いつつ、ベッドから降りて、歩き、ドアを開ける。

　すると、そこには、

「アリスとカロル？」

　青色の寝巻き姿のアリスと薄いピンク色の寝巻き姿でぬいぐるみを抱えているカロル。

　二人は切ない表情を浮かべているが、まんまるな瞳は俺を正確に捉えていた。

「晴翔……」

「お兄様……」

「な、なに？」

「一緒に寝ましょう」

「一緒に寝ましょう」

「……」

追記

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