第3話 幼馴染

 正直、怖さが無いわけではない。しかし、『神託を受けろ』と、頭の中に声が響いてくる。


 この人が言うのなら、やってみてもいいかな、という気持ちになった。


 ここで、「シュン!行くぞ!」と、父の声が聞こえてくる。


 僕はその言葉に従ってすぐに家を出た。


 












 『神託』を授ける機関、『聖成教会』に着くと、何人かの子どもが並んでいた。


 僕が並んですぐに中から教会の神父さんが出て来て、中に案内された。


 歩いている途中、一人の女の子が僕に話し掛けてきた。


 「シュン、怖い?緊張してる?」


 「…してる。ちょっと怖いかも」


 この女の子、実はここら辺一帯を支配するルーブルフォント子爵家の末の娘なのである。


 何故、只の平民の僕と貴族の娘が親しい仲にあるのかというと、お互い家に居づらいからである。


 僕は姉が、彼女は父親であるルーブルフォント子爵が家に居るからだ。


 僕と彼女は、六歳の頃に出会った。


 お互い家から抜け出していて、どうしようか迷っていたときに彼女に声を掛けられた。


 それから、よく二人で一緒に遊んでいた。


 彼女が貴族だと知ったのは、十歳頃だった。


 貴族や王族の権力が極端に強いこの国、『聖王国ウリエル』では、「平民ごときに貴族と関わる権利は無い」という常識が根付いており、基本的に平民が貴族に会う事は出来ない、十歳の誕生日の式典以外は。


 貴族が十歳になったときに、初めて姿が平民に公表される。


 これは、領民強制参加であるため、僕も見に行った。


 そこに現れたのが彼女、フローラだった。


 貴族だということを聞いても、僕達は一緒に遊んでいた。


 只一つだけ、「二人とも親にバレない様にする」という約束をして。














 「ふーん、大丈夫?」


 声だけ聞くと少し冷たい感じがするが、実際は心優しい人なのである。


 「うん、大丈夫。」


 それからも少し会話をしていると、不意に

神父の声が響いた。


 「皆さん、着きました。ここが『神託の間』です。皆さんここで神託を受けるのです。」


 それから神父から、『神託』の説明を受けた。


 1、『神託』は、12歳の子どもであれば、誰もが例外無く受けることが出来る。


 2、『神託』では、全員一つの称号、そして『祝福』か『呪い』が与えられる。


 3、『祝福』にも『呪い』にも『神託』にも規則性が無い。


 4、『呪い』等の要因により死亡した場合は完全に自己責任となる。


 と、言ったところだ。


 早速、一番前に居た人が『神託』を受けるためにその場にある水晶玉に触れた。


 すると、たちまち水晶玉から光が出て触れた少年に纏わりついた。


 光が収まると、神父が虫眼鏡の様な道具で少年を見る。


 「貴方の称号は…『整備士』、そして『努力への祝福』です。」


 と言った。


 少年は安心したような素振りを見せて戻って来る。


 それを見て安心したのか、次の少年は軽い足取りで水晶玉のもとへ向かう。


 そして水晶玉に触れた。


 すると、先ほどと同じように少年に光が纏わりついた。


 やがて収まり、神父が虫眼鏡のようなもので覗く。


 「貴方の称号は…『魔術師』」


 そう言われて、少年は飛び上がって喜んでいた。


 しかし


 「それと、『魔呼びの呪い』です。」


 そう言われた瞬間、少年は崩れ落ちた。


 魔術師とは、魔術を用いて戦う後衛の称号であり、魔術師が敵に狙われるのは致命的なのである。


 待っている子ども達の表情が強張った。




 更新遅れてすみませんでしたー!!

 絶賛義務教育中なもので、これからも遅れる事があるかと思いますが、何卒ご容赦下さい。

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