第5話 お狐さま in デスゲーム(中編)




 前回までのあらすじ。

 デスゲーム"デッドオアサクセス"に参加する事になった(自主的)みたま様と分福。

 十名の参加者が集まり行われるゲームは"クレヤボヤンスゲーム"。

 ☆○△□のマークが書かれたカードを一枚ずつ持つ参加者が、部屋内にある各マークの枚数を当てる透視ゲームです。

 マークの枚数をボックスに入力し、鍵を取得すればゲームクリア。

 3回の入力ミスをするか、30分の制限時間をオーバーすればゲームオーバー、"デッド"が待っています。


 果たして、みたま様と分福はデスゲームから逃れる事ができるのでしょうか?(そもそも自分から入ってきたんですけどね。)


 参加者の一人、小太り関西弁おじさんはみたま様と分福に共闘を持ち掛けてきたのです。


(なんか急に共闘の申し入れが来たんですけど。)

(小太り、関西弁、おじさん……これはどっちじゃ……?)

(どっち、とは?)

(この三属性を持っているのは大体"面白むーどめーかー"たいぷと"胡散臭い詐欺師"たいぷに分かれるのじゃ。)

(関西の小太りなおじさん全員に謝った方がいいと思います。)


 ナチュラルに失礼な事を言うみたま様です。大変申し訳ございません。

 何はともあれ突然の共闘の申し出に、みたま様は真剣に悩んでいました。

 みたま様のド偏見はともかく、これは友好的な協定なのか、後に騙し出し抜く為の偽りの協定なのか、確かに悩ましいところではあります。


「断る!」


 割とすぐに断りました。大して悩んでいなかったようです。


「な、なんででっか?」

「一人称がわしと被るから!」


 キャラ被りが理由だそうです。戦略性まるで関係有りませんでした。


「ほなら、これからワイって言いますわ。」

「それなら考えてもよい。」


 一人称変えたら良いようです。


「何故、わしらと組もうと言うのじゃ?」


 今までの無駄なやり取りは置いておいて、此処からようやくゲーム攻略に向けた交渉や駆け引きに入るようです。

 みたま様と分福と組もうという関西弁おじさんは、揉み手をしながらにやけ面で話し始めます。見るからに怪しいです。


「このゲームの特性考えたら、手ぇ組むのが一番だと考えたんですわ。」

「げーむの特性、というとなんじゃ?」

「"クリアできるのは四人"ってとこや。」


 関西弁おじさんは口元を隠しながら話します。周りにこの会話内容を聞かれたくないようです。


「クリアできんのが一人なら他人と組むのはリスキーやけども、四人ってぇなると話が違ってくる。このゲームにおいて重要なのは『他人に出し抜かれない程度に最低限の情報を収集すること』とワイは睨んどる。」

「どういう事じゃ?」


 さっきからみたま様は質問しかしてません。関西弁おじさんは得意気に語り始めます。


「ノーヒントで入力するってぇなると、一つのマーク当たり10パターンの可能性がでてまいます。実際にはカード配分でもうちと絞れるかと思うけども。とにかく、自分のカード一枚からじゃあろくな推測もできへんってことや。」

「ほうほう。」

「だから、3回っちゅう制限の中で正解を引くには、出来る限り他のプレイヤーのマークを知っときたいわな。」

「そうじゃな。」

「ただ、下手にマークを共有しすぎると、下手したら他プレイヤーに先駆けて入力されてまう可能性がある。これは四人先着のルールでは致命的や。つまり、他プレイヤーがクリアできる程の情報は流せないっちゅう訳や。」

「なるほどのう。」

「そこで、出し抜かれるリスクが一番少のうなる方法としてワイが考えたのは『四人のチームを組む』って事や。」


 ひひひ、とゲスな笑みを浮かべて関西弁おじさんは四本指を立てました。


「クリア可能人数は最大四人。つまり、四人までなら手を組む事はできるっちゅうわけや。この時点で四人はカード四枚分の中身が分かる。ほぼ半分のカードを抑えられる。更には各プレイヤーの入力回数3回×4人、ラスト一回除いても8回分の試行錯誤の機会が得られる。どや? これならかなり当たりの数字が絞り込めそうやろ?」

「おお! 確かに!」


 みたま様はぽんと手を打ちました。

 10枚のカードの内、4枚のカードが分かる。8回まで外す事ができる。これだけ聞いても他プレイヤーにかなりのリードを取れそうです。

 

「勿論、四人で組んでも出し抜かれんとも限らん。ワイが信頼できないっちゅうんなら、ワイは別のプレイヤーに声を掛けにいくだけや。あんたらが既に繋がっとると睨んで声を掛けたから、一気に三人チームが組めるとワイとしても有り難いんやが。」

「むう……。」


 みたま様は悩ましげに顎に手を当てます。

 話を聞いた分福は、あー、と何か納得したように頷きました。


(メリットの提示。裏切りのリスクをさらっと小さく触れる。お前らじゃなくても別にいい。……これ詐欺の手口だなぁ。)


 組む事によるメリットを大々的に押し出す。

 更にそのメリットは、如何にも凄そうに、たとえば10枚中4枚を「ほぼ半分」と言い換える等して誇張する。

 リスクがある事をあえて伝える。この時にリスクは大した事がないようにさらっと小さく告げる。素直にリスクを話すのだか、騙すつもりがないのだと偽装する。

 その上でこの美味しい話を受けなければ他にこの話を持っていくと揺さぶりを掛ける。限定品商法のような揺さぶり。

 関西弁おじさんは言葉巧みにこちらを誘導しようとしているのです。


 みたま様は目の前の関西弁おじさんが"胡散臭い詐欺師"タイプだと気付いていないようです。


「う~む。どうしようかのう……。わしは組んだ方がいいと思うんじゃが……分福はどう思う?」


 それどころか、みたま様はこの交渉をかなり魅力的に感じているようです。


「別にいいんじゃないですか?」


 分福は適当に答えました。

 

「ならいいかの! よし、わしらで手を組もうぞ!」


 みたま様はあっさりと関西弁おじさんと手を組みました。にやりと下卑た笑みを浮かべて、関西弁おじさんは手揉みをしています。いいカモを捕まえたで、グヘヘヘとでも言いたげな笑顔です。


 こうして、みたま様、分福、関西弁おじさんのチームが結成されました。


「それじゃ、お主のカードのマークを教えるのじゃ。」

「ああ、ワイのカードは○ですわ。」

「うむ。よし、分福行くぞ。」

「え?」


 関西弁おじさんからカードのマークを聞いたみたま様は、踵を返して部屋の隅に移動し始めます。これには関西弁おじさんも分福も呆気に取られました。


「ちょ、ちょっと待ってくれや! あんたらのカードのマークを……!」


 慌てて後を追う関西弁おじさんをくるりと振り返り、みたま様はニタァと邪悪な笑みを浮かべました。


「教える訳なかろうが。わざわざ、マークを教えてくれてありがとのう。」


 先に裏切ったのはみたま様だったのです。

 まさかの開始早々の裏切りに唖然とする関西弁おじさん。アホだと思っていた主の突然の裏切りムーブにぽかんとしている分福。

 関西弁おじさんの騒ぎようから周囲の視線が集まったところで、みたま様は両手で狐の形を作って、両手両足をクロスする決めポーズを取りました。


「ふははははははは! まんまと引っ掛かりおったわ! 可愛い"のじゃロリ狐耳娘"だと思って油断しおったな! これでわしは三つのまーくを握ったのじゃ! これからこの"くれやぼやんすげーむ"を支配する神となるのは、金剛鬼伏百尾稲荷こんごうきふくひゃくびいなり……みたま様なのじゃ!!!」


 みたま様、まさかの悪役ムーブです。

 そう、みたま様は別に善神ではないので、こういう事を平気でするのです。

 むしろ、狐の妖怪なので、人を化かすのは大好きなのです。


「ふ、ふざけんなや! それならこっちにも考えがあるで!」

「おう、なんじゃ。言うてみろ。」

「お前ら! このコスプレしたガキはワイを騙しよった! 絶対に信用したらあかんぞ!」

「おーおー、考えというのはその小学生のいじめみたいな言いふらしだけか。」


 みたま様はくっくと楽しそうに笑います。悪役ムーブが板に付いています。


「残念ながらそれは無意味じゃ。何故なら、三つのまーくをただで握った時点で、わしはこのげーむを支配したのじゃから。」

「ど、どういうこっちゃ!?」

「お主は分かっておらんのう……このげーむは"四人"協力できるのではない。"四人しか"協力できないのじゃ。」


 みたま様はくすくすと笑いながら大声で、周りにも聞こえるように演説を始めます。


「このげーむで脱出可能な人数は四人。つまり、余程のお人好しが自己犠牲精神を見せない限りは四人までしか協力はできないのじゃ。」

「それがどうしたっちゅうんじゃ!」

「こう言い換えれば分かるかの。一つのちーむが知る事のできるまーくは四つまで、という事じゃ。」


 みたま様が「通常なら」という部分を強調した事で、クール高校生が何かに気付いたようにハッとしました。そして、口元に手を当てて冷や汗を流し始めます。

 もう一人、みたま様の言うことに気付いたクール女子高生は「はぁ」と溜め息をつきました。

 どういう事なのか理解できないでいる周りのプレイヤー達を見渡し、得意気な顔をすると、みたま様は声を張り上げます。


「わしらはもう二人まで、ちーむに招き入れるのじゃ! これでわしの抑えられるまーくは五つ! 推理は一気に楽になるのじゃ!」

「ば、馬鹿な事言うなや! おどれみたいな嘘吐きと誰がチームを……!」

「組まざるを得ない筈じゃ。何故なら、《お主は既に価値を失い》、。」


 食いつく関西弁おじさんの言葉を遮るように、ぴしゃりとみたま様は言い張りました。


「わしと分福でまーくを三つ抑えておる。この時点でお主に利用価値はない。お主と組むくらいならわしと組んだ方が多くのまーくを知れるからじゃ。そうなると、わしら以外で組めるちーむは四人と三人のちーむに分かれる。こうなると、三人のちーむがとても不利に見えるじゃろ? わしと組めば五個のまーくを知れるのに、わざわざ意地を張って三人で組む意味がないのじゃ。」

「な……!?」

「勝つ為にはわしと組むしかないという事じゃよ。これは……お主らに向けて言っているのじゃぞ?」


 みたま様は、正義漢高校生のチーム以外の四人に向けて語りかけます。


「わしらが救済するのは二人まで。これは早い者勝ちじゃ。」


 先程、関西弁おじさんから食らった早い者勝ち理論にて、みたま様はプレイヤー達を釣り出します。既に感情的に動きそうなパニック女がごくりと息を呑んで、今にも動き出しそうにしています。


 既に利用されて切り捨てられた関西弁おじさんは、顔を赤くして声を荒げます。


「ま、待てや!!!」

「お主は用済みじゃ。黙っておれ。」

「う、く、はははは……! おどれは勘違いしとるのう!」

「あん?」

「ワイが本当におどれに正しいマークを伝えたと思っとんのか!?」


 その一言で周囲のプレイヤー達は若干前のめりになりかけていた姿勢を後ろに退きました。

 もしも、関西弁おじさんが伝えていたマークが嘘だった場合、みたま様の言うリードは一気に失われてしまいます。

 残るのは他人を嵌める危険なプレイヤーであるという悪評のみ。

 関西弁おじさんの咄嗟の指摘に、みたま様は一気にピンチに……。


「お主は本当に愚かじゃのう。」

「なんやと!?」

「それはお主の首を絞めるだけにしかならん。」


 ピンチにはなりません。みたま様はそれ位お見通しとでも言わんばかりに切り返しました。


「お主がわしらに教えたまーくが嘘だというならば、お主はわしらに共闘を持ち掛けておきながら、いきなり嘘のまーくを教えたという事になるぞ? 信用を失うのは果たして誰なのかのう?」


 みたま様への不信を植え付けようとする関西弁おじさんの一手は、みたま様の切り返しによりたちまち関西弁おじさんへの不信へと繋がります。

 みたま様の一言を受けた関西弁おじさんはぐっと言葉を詰まらせ、周囲から集められる視線を見回しました。

 その様子を見て、みたま様はフフと大人びた笑みを浮かべます。


「冗談じゃよ。お主が嘘のまーくを伝えておらん事くらいお見通しじゃ。」

「な、なんやと!?」

「わしには他人の嘘を見抜く能力があるのじゃ。」


 明らかなハッタリでしたが、焦りを見せる関西弁おじさんの様子が、妙な説得力を持たせていました。みたま様は苦し紛れの関西弁おじさんのハッタリを切り抜け、再び自らに主導権を取り戻します。


「さて、邪魔が入ったが仕切り直すとしよう。わしの救済を受けたい者はおらぬのか? 先着二名じゃ。早い者勝ちじゃぞ。」


 関西弁おじさんとのやり取りを見て、みたま様の強さを知った事でより、彼女の味方に付くことの魅力は上がります。

 このゲームの勝利方法を模索するクール高校生、クール女子高生のような者達とは違う、命懸けのゲームに戸惑い続けるパニック女のような者にとって、このような強烈なリーダーは魅力的に映りました。


「わ、私をお救い下さいみたま様!!!」


 遂に膠着が崩れました。パニック女が真っ先にみたま様の元に駆け寄ります。

 そして、最後の一枠となったことでいよいよ踏み出す勇気を出せなかったサラリーマンもダッと走り出しました。


「お、俺も!!!」

「おお、これでわしの四人チームは完成したのう。」


 みたま様はにたりと嫌らしい笑みを浮かべました。


(バリバリに悪役ムーブが板に付いてるなぁ……。というか、人気者になりたいのに悪役ムーブでいいのか……?)


 分福がノリノリのみたま様を見て思いました。


 みたま様の元に来たパニック女とサラリーマン。

 みたま様と分福と合わせて四人のチームが、五つのマークを持って揃いました。


 完全にみたま様に出し抜かれた関西弁おじさん、プライドの高さや周りへの警戒から流れに乗り遅れたクール高校生、静かに思考を巡らせていたクール女子高生は完全に孤立します。

 そして、協力しての脱出を目指す正義漢高校生、気弱女子高生、不気味青年は三人チームを組めたものの、みたま様チームには大きな遅れを取ります。


 完全にゲームの主導権はみたま様が握っていました。

 みたま様は集まってきたパニック女とサラリーマンに告げます。


「さて、お主とはまず契約を結ぶことにしようかの。」

「け、契約……?」

「わしらのおこぼれ二枠を譲る見返りを寄越すのじゃ。」

「み、見返りってなんですか……?」


 オドオドとしているパニック女に、みたま様はパーにした手を差し出します。


「脱出した暁には、お主らが手に入れた賞金一億円から、わしに五千万円を寄越すのじゃ。」

「えぇ!?」

「そんな無茶苦茶な!」


 もうみたま様はやりたい放題です。流石の分福もこれまでの悪役ムーブにはドン引きです。みたま様はにやにやと笑いながら、困惑する二人に言います。


「嫌なら断ってくれても構わんぞ。わしは他のぷれいやーにこの話を持ち掛けるだけじゃ。」

「そ、そんな……!」

「それに、これはお主らにとっても悪い話ではないのじゃ。」

 

 みたま様はにっと笑ってモニターの方を見ます。


「おい、くらうん!」

【はい。なんでしょう。】

「ひとつ確認じゃ。脱出後の賞金の譲渡について、ぷれいやー同士で契約を結ぶ事は可能かの?」


 みたま様の質問に、クラウンはクククと笑います。


【はい。可能です。】

「その場合、お主ら運営に契約の保証人になってもらう事は可能か?」

【実に良い質問です。答えは"可能"です。】


 その話を聞いたみたま様は、ニッと八重歯を見せて笑い、パニック女とサラリーマンに手招きをして顔を寄せさせました。


「人間の信頼関係を結ぶのに一番手っ取り早い手段は"金"じゃ。」

(神様がそんな事言っていいんですか?)


 神様までそんな事を言い出したら夢も希望もないのですが、みたま様は二人の協力者に話し続けます。


「お主らから救済の対価としてわしが金を受け取るとするなら、わしがお主らを裏切るめりっとは途端に減ると思わんか?」


 パニック女とサラリーマンがごくりと息を呑みました。

 確かに、救済した見返りに金を支払うという対価の約束があれば、みたま様が裏切りをする意味が途端に薄くなってきます。道楽で自分達以外を殺戮しようとする異常者でもない限り、最後まで協力関係を築いていた方がお得です。

 

「そして、その金銭の譲渡は運営が保証人となってくれる。つまり、約束が反故にされる心配はないのじゃ。わしらは"金"という契約を経て、"うぃんうぃん"の関係を結べる事になる。」


 なるほど、と分福は思いました。

 みたま様は上手い事賞金の譲渡や運営の仲介を利用して、パニック女とサラリーマンから信頼を得るための"契約"を作り上げたのです。

 みたま様は賞金が多く貰えるというメリットがあるからこそ、契約を結んだパニック女とサラリーマンを見捨てる事がないだろう、そういう確証を二人に与えたのです。

 救済をすることでみたま様が明確に得をするという分かりやすいWin-Winの関係を作り上げる事で、パニック女とサラリーマンは確かに裏切りはないだろうという安心感を得ることができました。


 更に先に打ち込んだ「嫌なら他を当たる」という楔もあります。

 

「わ、分かりました。その話、乗ります。」

「私も約束します。」

「ふふふ。賢くて助かるぞ。これで正式にちーむみたまの結成という訳じゃ。」


 みたま様は早速モニターに向かって語りかけます。


「くらうん。ぷれいやー間の契約を結びたいのじゃがどうすればよい。」

【リストバンドに通信機が仕込まれています。それに向かって契約を結ぶプレイヤーでこちらに契約内容を通達して下さい。】


 みたま様とパニック女、サラリーマンは三者間にて次の契約を結びました。


『みたま様、パニック女、サラリーマンの三者が脱出に成功した場合、パニック女とサラリーマンの獲得賞金の内五千万円をみたま様に譲渡するものとする。』


 リストバンドにその内容を告げると、クラウンから通信で「契約内容を保証します」という返事が返ってきました。これで三者は正式に協力者となったのです。

 部屋の隅で他のプレイヤーから距離を取り、チームみたまの四名は互いに情報を交換しました。


「私は△です。」


 パニック女はパスケースからカードを取りだし、カードを見せつつ言いました。


「私は☆だ。」


 サラリーマンも同じくパスケースからカードを取り出しながら言いました。

 実物のカードを見た事でマークが正しい事も確証できます。


「わしと分福はお互い☆じゃった。」


 これでチームみたまは五人分のカードのマークを手に入れることができたのです。


みたま様:☆

分福:☆

関西弁おじさん:○

パニック女:△

サラリーマン:☆

正義漢高校生:?

気弱女子高生:?

不気味青年:?

クール高校生:?

クール女子高生:?


「☆が3枚、他のカードが2枚ということは、☆が3以上かつ7以下だと分かったの。同時に、他のまーくは6以下であるとも分かった訳じゃ。」

「だ、大分絞れましたね!」

「この時点で☆の枚数候補が5つ。わしらの入力上限12だけで確定で一人勝ち抜けが決まった訳じゃ。しかも、必ず一人2回の入力回数を残しての」


 ☆の枚数候補は3、4、5、6、7。

 一人が1回ずつ入力して全て外したとしても、次の2回目の入力で一人の勝ち抜けが決まります。残る三人のプレイヤーは入力回数を必ず2回は残せるのです。

 これを見たパニック女とサラリーマンの表情が一気に緩みます。


「さ、早速入力に行きますか?」

「いや待て。今の時点ではまだ☆の正解を出すことしかできんのじゃ。☆の正解が分かれば更に他のまーくの正解も絞り込めるのじゃが……。」


 みたま様はくくくと笑います。


「まずは他の者達の様子を見ようではないか。わしらよりも圧倒的に少ない情報の中でどう動くのか、高みの見物と参ろうぞ。」


 まるでゲームを取り仕切る悪役のようなムーブを見せるみたま様。

 はてさてこのままみたま様は脱出する事ができるのでしょうか。




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