第3話 工事計画(鉄)
「え、町の防壁を兼ねた高架を作ってその一部を町の門にするのですか?」
俺たちはさっそく翌日に領主代行に会って概略図を見せながら計画を話した。
「ええ、この町の特性上、北のウェルミュへは渓谷の道しか通っておらず、かといって南のメリカズフォス方面も踏み切りを渡ってから町の外に出ています。それならば踏み切り付近に高架駅を作り、ぐるっと防壁兼高架線を巡らせるのでいいのではないかと考えました。そうなるとちょうど踏み切りの位置の高架下が町の門として最適の場所になります。貨物駅は今の駅を完全貨物専用化します。こちらへの道は今の線路沿いの道を使えばいいでしょう。どうですか?」
「これだけの大規模工事、どれくらいかかりますか?」
「そうですね、一応予定では新駅とメリカズフォス駅は半年後開業予定です。」
これは、俺は指示に回り実際の建設は土木部に任せるからだ。
「そうですか。その間は駅は使用不可能になりますか。」
「いえ、別線方式での工事でいくので開業前日まで現駅を使用しますよ。それにサイユウゲキまでは早急に、一週間で仮駅。1ヶ月で開業を目指しますから、その時に駅がないと困りますからね。」
「え、できるんですか?」
「できますよ。特に今回は土地があり余ってるから余裕ですね。」
日本だと都市部の中心で高架工事をやることもあるから別線方式、仮線方式、直上方式と工事をする方法も色々あるからな。今回は元の線路を残したままだから別線方式になる。
「工事中も鉄道や街道は通行可能になります。隣接地に土塁を作るだけですので交通の妨げにはならないよう注意して工事を行います。」
ちなみに今回は今後も同様の工事をする時のため俺が監督するが、工事責任者を多数配備する予定だ。彼らには俺がいないときも工事をしてもらわなきゃならないからな。
「工事の順序は、まずサイユウゲキまでのトンネル工事。これは俺のチートをごり押しして2~3日で貫通させる予定です。当面は単線トンネルになる予定です。次にナンユウゲキ~サイユウゲキ間の敷設工事と、サイユウゲキ駅の仮駅の建設。これは早急に営業開始するために最低限の機材で運行するものになり、正式開業まではナンユウゲキ駅に仮設のホームと中間改札を作ります。そのまま1ヶ月以内でサイユウゲキ駅の正式開業をもって直通運転をはじめナンユウゲキ駅の中間改札を撤去、その後工事ナンユウゲキ~メリカズフォス間の建設およびナンユウゲキ駅の高架化移設工事に移ります。」
「その工事が半年かかるのですね。」
「いえ、3ヶ月くらいでしょう。魔法の力は偉大ですね。」
それだけの時間で建設できるのは大和がチートなだけである。
「そのあと、試運転、ダイヤ作成を経てから開業ですね。まあ、他の路線も建設していっているのでそれにも合わせます。」
「そうなのですか?」
「ええ、王都から東がまだ建設されていないのでそっちも建設中です。」
ナンユウゲキ~サイユウゲキ間の建設は急ぎのため大和が来て作っているが、他の部分は大和がフェンリルのルナに乗ってチートを使って測量した結果を元にしてチートで作った計画図があるのでチートで技術を教え込んだ部下たちに任せているのである。第二期線として王都から東の比較的平坦なルートを選んで建設中である。また、他の場所も半月かけて様子見済みである。大和の頭の中でおおよその路線が計画されていた。
「これから路線も増えていくので機関車とか作らなきゃいけないんで、大忙しですよ。」
モーターとレール、ブレーキの製作はフル稼働している。今はレールに魔方陣を書く魔道具を開発中だ。じゃないと更なる延伸で魔法ラットたちの負担が看過できないレベルになってしまう。だが、ここのボトルネックを解消してやらないと直近でまずい。
「まずはここを何とかしないといけないので、一週間以内に仮設施設を完成させる予定です。運行に関しても単純往復で運行するので本数も増やせないですね。ただ、貨物列車を運行するだけでもかなり変わるはずです。」
「なるほど……。」
「で、駅を高架にするに当たって、この高架と街道の交点に町の門を作ろうかと思うんですが、いかがでしょう?」
「え、いいのでしょうか?」
「ついでですからいいですよ。」
「では、当主に確認します。」
「よろしくお願いします。」
後日、門番を置く場所を一体で作る許可がもらえたので計画通り建設することになった。
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