第7話 助けてくれた人

「そういえば、ヤマトさんは、この町の近くの街道沿いで倒れてたところを発見されたんですよ。そのときの所持品とかも預かっています。」


 荷物もこっちに来てるんだ。たいした荷物はなかったと思うけど……。


「あ、そうなんだ。助けてくれた人がいるんですね。そういえばそうか、いきなり町中に現れたわけでも……ありえるな。」

「たしかに異世界転移者なら突然町中ってこともあったらしいですし、まあ今回は発見したのがうちの冒険者でしたので、冒険者としての共助のという扱いになってますね。」

「あ、そうだったんですかありがとうございます。で、荷物の方は?」

「倉庫の方になるので持ってきますね。酒場の方でお待ちください……って、案内しますね。」


 オルガさんの先導で受付横の酒場に向かうと。


「おや、気がついたようだね。」

 酒場で食事を摂っている金髪で鎧姿の人物に声をかけられた。

「ああ、ウリアさん。彼は先程目覚めたところなんですよ。ヤマトさん、この方があなたを見つけたウリアさんです。」

「助けていただいてありがとうございます。小泉大和といいます。名字が小泉で名前が大和です。」


 俺は頭を下げてお礼を言った。


「ヤマト君だね、ボクはウリア。銀級シルバーランク冒険者で戦士をやっている。あとパーティを組んでいるのが2人いる。今は買い出しでいないけどね。」

「パーティでの移動中だったんですか?」

「いや、商隊の護衛依頼の途中だった。と言ってももうすぐ目的地のこの町に着くところだったんだけどね。」

「そうだったんですか、ご迷惑をかけました。」


 俺はもう一度頭を下げる。


「いや、いいんだよ。困ったときはお互い様さ。」

「ありがとうございます。」

「そういえばお腹が減っていないかい?もしよければボクと一緒に食べないかい?お代はこっちで持つけど。」


 お、異世界飯か。新大阪の手前で飛ばされたから、夕食前だったんだよな~。


「いいんですか?甘えさせてもらっても?」

「おや、断るかなぁと思っていたんだが……。」

「いやね、俺、この世界に飛ばされてきたもんだからこの世界のお金を持ってないんで、無い袖は振れませんし、今冒険者になったんで将来恩返しができるかもしれないですし。」


 ウリアさんは少し唖然とした顔をしてから


「まさかそんなことを言うとはね。腹芸ができないのか、しないのか……。気に入った。ボク達とパーティを組まないか?」


 即行で勧誘か。青田買いってやつかな。


「おおう。いや、だが、他のメンバーの兼ね合いというか、意見も聞かないと。それに、まだ自分の力もわからないし、魔法の使い方も覚えないと……。」

「ああ、そうだね。なら、うちのパーティに魔法が使える者がいるから、彼女に習えばいいだろう。」

「そうはいきませんよ。それに、最初は自分がどれだけできるかソロでやってみたいと思ってますし。」

「んー残念だな。まあソロで厳しくなったらパーティに加わってもらうってことでいいかな。」


 このくらいの約束はありかな。たぶんステータスを見たオルガさんの反応から、たぶんソロでも余裕かもしれないからなぁ。


「いいですよ。ソロで戦えなくなったらよろしくお願いします。」

「では、将来のパーティメンバーのために奢ることにしよう。」

「いや、最初から奢る予定でしたよね!」


 はははと笑いながら、席に着くのを促してくる。

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