第6話 冒険者になる

――――暫くしてオルガさんが正気に戻ったあと――――


「えーと、最終的にテツドウを作って人の流れや流通の常識をぶっ壊す前提でコネとお金になる仕事を希望するですね。」

「ぶっ壊すって……、まあそういうことになるなぁ。」


 中世から一気に近代になったらそうなるよなぁ。スキルから考えてやろうとしたら、0からはさすがに無理だけど、うまくすれば出来そうだし。


「そうですね。まぁここは冒険者ギルドですから冒険者をお勧めするんですが……。ぶっちゃけそれだけの力があるなら冒険者をやってレア素材やレアモンスターを狩って納品すればお金はなんとでもなりますし、冒険者なら権力者や豪商の依頼を受けてコネをつくることもできますし――。高ランクになれば。」

「高ランク?」

「冒険者にはその能力と功績と人柄によってランク分けされます。これは能力の低い冒険者が無謀な依頼を受けないようにするためと、高レベルの冒険者が粗暴では困るのが理由です。」


冒険者ランクは木級ウッドランクからオリハルコンランクまであり、冒険者になるとまず木級ウッドランクになる。それぞれのランクは――――


木級ウッドランク

鉄級アイアンランク

銅級カッパーランク

銀級シルバーランク

金級ゴールドランク

白銀級プラチナランク

ミスリルランク

アダマンタイトランク

オリハルコンランク


の9ランクに別れており、銅級カッパーランク銀級シルバーランクの間にひとつの壁があり、冒険者の8割が銅級カッパーランクまで終わり、ミスリルランク以上は10年に1人でればいいほうらしい。なので、実質最高位は白銀級プラチナランクだそうだ。


「冒険者になられるならまず木級ウッドランクで10日間の訓練期間を経て鉄級アイアンランクになります。まあ何らかの功績が発生すれば、飛び級もあり得ますけど……、飛び級しそうですよねぇ。」


 まーステータス見たらなぁ。


「飛び級は銅級カッパーランクまでなら店単位で、それ以上だと支部や本部で判断になります。実際には昇級試験が支部や本部でしかできない決まりになっているだけなんですよね。うちは店なんで昇級してもらうには王都まで行ってもらわなければならないんですよ。」

「なるほど。ならこの町で経験を積みつつ将来的に王都で昇級試験を受けるというのが正道みたいだね。」

「まあこの辺りは辺境なんで、仕事も多くないですし、冒険者も少ないですから。あまり揉め事もないですしね。」

「経験を積むにはいいのか?まあともかく、冒険者になるには何が必要なんだ?」

「書類に名前と職業ジョブを書いてもらうだけですね。ただ、ヤマトさんの場合、職業ジョブは“何か1つ”の方がいいでしょう。」

「複数職業ジョブを持っていることはレアだからか。」

「そうなります。ヤマトさんなら召喚師か魔法戦士の方がいいかもしれませんね。」

「その二つを選んだ理由は?」

「まず、ヤマトさんのスキルで高い魔法使いの能力があります。これを使わない理由がありません。また、魔法よりは低いですが英雄レベルの近接戦闘技能があります。この二つを組み合わせた“魔法戦士”がパーティを組む場合都合がいいと思います。また、高い召喚魔法の技能があるので、ソロ冒険者として“召喚師”も選択肢としてありです。高いレベルの魔法も“召喚した魔物”が使ったとしてある程度ごまかせますし、パーティに参加もしやすいでしょう。以上の理由ですね。」


 なるほど、誰かと一緒に冒険をするなら魔法戦士、一人で戦うなら召喚師ってとこか。この世界に来てまだ知り合いがオルガさんくらいだし、ここは――――


「じゃあ召喚師で。」


 こうして、俺は異世界で冒険者になった。はやく鉄(道)分てつぶんを摂取したい……。

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