第二章

第25話

 深夜零時。

 とあるネットの掲示板に、あるメッセージが書き込まれる。


 『殺し屋ジャスティス』の正体!?


 そんなタイトルで書き込まれたメッセージには、次々と書き込みが寄せられた。


 『『殺し屋ジャスティス』って、そもそも実在すんの?』

 『してるって、こないだもどっかの、金持ちばっかり治療してたドクターが殺されたってよ』

 『警察は患者達からの逆恨みによる犯行って言ってたぜ?』

 『『殺し屋ジャスティス』=警察関係者、もう法律で裁ききれない犯罪者を、刑事達が殺しているって説が一番有力』

 『そもそも何で『悪人』ばっか殺してんの?』

 『確かにそこは謎』

 『自分も酷い目に遭わされたんでしょ?』

 『だとしても、『悪人』だからって簡単に人を殺すとか酷すぎ』


 沢山の情報が流れる中……

 書き込んでいる人々の関心は、ある一つの『疑問』に向けられていた。

 即ち……


 『殺し屋ジャスティス』。

 彼は一体いつから、そして……

 何故、『悪人』だけを殺す『殺し屋』となってしまったのか。


 『僕の聞いた話では……』


 その疑問に対し、一つの書き込みが書かれた。


 『『殺し屋ジャスティス』も、最初から『殺し屋』……それも裏社会では、ほとんど向かうところ敵無し、『最強』と言っても良い『殺し屋』、という訳では無かったそうですよ?』


 『『最強』って、そんなバトル漫画みたいな……』

 そんな書き込みがあったものの、その人物はその書き込みを無視して続きを書き始める。


  『『殺し屋ジャスティス』、彼はそう呼ばれる存在になる前までは、何処にでもいる、ごくごく普通の少年だったそうです』


 そんな風に、書き込まれた。


 そして。

 メッセージの主は、さらに書き込みを続ける。


 『当時の彼は、笑顔の良く似合う、無邪気な少年でした、とても明るく、優しい少年で、人どころか虫一匹とて殺した事が無いくらいだそうです』


 いつの間にか、彼の書き込みに対して余計な口を挟む声は止まっていた。

 メッセージの主は、さらに書き込みを続ける。


 『しかしある日……彼の人生を、大きく歪めてしまう出来事が起きました』


 メッセージが書き込まれる。


 『そしてその時に起きた出来事が……彼の、一番大切な『もの』が失われた事がきっかけとなり、彼は『普通』の人生を捨て、『殺し屋』として生きる事を決意したそうです』


 『その……『きっかけ』ってのは……?』


 恐る恐る。

 そんな風に書いているのが解る、遠慮がちなメッセージが書き込まれた。


 『それは……』


 メッセージが書き込まれる。

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