第11話
左側面を、見て周った。
片瀬が見た限りでは。
事務所の裏にあたるのか、トイレ裏にある下水のマンホールがあるのと、
四角いマンホールのようなものが地面にあっただけだった。
怪しい所も特になかった。
ただ、 立地的に住宅街と駅との間とに放置されていただろう
この跡地に倉庫を建てただけに見えた。
しかし、昨夜の怪しい車両は、何をしにこの倉庫にやってきたのか?。
倉庫周辺の捜索を終え、帰る頃を知らせる為に、宮崎を探した。
宮崎は、事務所で、書類らしきものに目を通している所だった。
「ご協力、ありがとうございました。」
「いえ。何か見つかりましたか?」
「いいえ。それではありがとうございました。」
「最後に、一つ、良いですか。」
「はい。」
「昨晩、荷物の搬入はありましたか?」
「昨晩ですか?」
「無かったと思いますが。」
宮崎は、先ほど見ていた書類とは違う書類をパラパラとめくり
もう一度。
「うん。ありません。」
「そうですか。ありがとうございました。」
「あ!それと、もう一ついいですすか」
「はい、どうぞ。」
「駅前にある会社の会社名(Αρθρωτό)の読み方と」
「ここの会社の読み方を教えてもらいたいのですが」
「あっはい。」
「駅前の会社は(モジュラー)といいます。」
「因みに、英語表記では、M・O・D・U・L・A・Rで(modular)です。」
「それと、この会社がΡαμανούτζανですが、」
「英語表記に変えたほうが分かりやすいと思いますので英語表記に
しますと、R・A・M・A・N・U・J・A・Nで(ラマヌジャン)と読みます。」
英語表記と言われてましたが、元々の表記は何語なんでしょうか?」
「ギリシャ語と聞いていますが、」
「そうですか。ありがとうございました。」
片瀬が、倉庫の敷地を出て、車に乗り込むと、社員が出社してきたよう
だった。
軽車両が一台、あの急坂を登ってきたようだ。
運転手は、宮崎と同じクリーム色の上着を着ている。
運転手を目視した際、上り坂を登った時の左側にある数本の大木の
後ろに、草木に覆われた古びた小さな小屋があることに気が付いた。
片瀬が登ってきた時には、右にある倉庫に目が行って、左側にあった
その小屋を見落としてしまっていたのだった。
出社してきた社員を無視して、片瀬は車を降りて、草木に覆われている
古びた小屋に近づいた。
小屋は、舗装された道路から一段下がった場所にあった。
小屋に行くには、今にも崩れ落ちそうな、細いボロボロの石段があるだけ
だった。
石段と言っても、所々木の根に浸食されたように覆われながら、階段の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます