第7話

鍵は外せそうも無く、鉄柵の両端は樹木が生い茂っていて侵入は

出来そうもなかった。

暗闇に車のライトの光か建物や樹木に反射して、車の居場所が分かる

かもしれないと思い、目を凝らしたが、光も音も届いてこなかった。

片瀬は、セダンに戻り、エンジンもライトも付けずに再び下りカーブを下り、

ある程度の距離取ってエンジンとライトを付けた。

峠を降りた所の交差点にコンビニがあり、その駐車場の隅に車を停めて

シートを倒した。

何時、黒いバンが現れるかわからないので、シートに体を沈めたい

所だったが、最近お気に入りのメロンパンを食べ損ねた事を思い出し、

コンビニでメロンパンと、ペットボトルのコーヒー、それとお菓子を

いくつか買い、門の前で朝まで張り込む訳にもいかないので、

コンビニの駐車場で、黒いバンが現れるのを待つことにした。

峠から降りてくる車は、30分から1時間に1台程度で、昼に仮眠を取った

片瀬だったが流石に睡魔に襲われだした。

数回あの鉄柵を壊して侵入しようか考えたり、あの場所が石切場跡

だという事を、カーナビを使って調べているうちに、明け方になっていた。

峠から降りてくる車は、30分から1時間に1台程度で、昼に仮眠を取った

片瀬だったが流石に睡魔に襲われだした。

数回あの鉄柵を壊して侵入しようか考えたり、あの場所が石切場跡

だという事を、カーナビを使って調べているうちに、明け方になっていた。

まだ、辺りは薄暗いがコンビニへ朝食なのか、勤め先で食べる昼食を買い

求める客が来店しだした、片瀬はもう一度、石切場跡に行くことにした。

しかし、交通量も夜中のそれとは違い、Uターンする事もできなかった為、

石切り場から15分も登った頂上付近にあった展望台も兼ねた休憩所に

一旦車を入れてから、Uターンし、ようやくあの鉄柵の前で車を停める

ことができた。

昨晩は暗闇に隠され、柵の先が登り坂であることしか、わからなかったが

カーナビで調べた通り微かだが生い茂る樹木の隙間に切り立った岩肌が

見えた。

しかし、昨晩黒いバンがこの中に入って行って以来、姿を見せていないが

これ以上、ここに居てもやることがない為、この石切り場の所有者を

調べる為一旦署に戻ることにした。

片瀬は署には戻ったが、押収品保管庫にセダンを入れると、警察車両に

乗り換えてすぐに街に向かった。

カーナビしかついていないセダンを使うよりかは、警察車両に搭載されて

いる端末を使いながら捜査したほうが効率もよくムダがないからだ。

まず、あの石切り場の住所から所有会社は判明した。

会社名は「Αρθρωτό]

「アポプワオ?」

「何語?」

「なんて読むんだろ?」

などと、車内で独り言を言いながら片瀬はその会社へ向かう事にした。

会社はあの石切場のあった峠を越えた先にあるC地区にあった。

C地区は中心地郊外にあり近年になって一軒家を望むファミリー層に

人気の地区だった。

C地区に向かう途中、石切り場を車内からではあるが確認してみた。

鉄柵の先はかなりの急勾配の一本道が3~400m先伸びていたが左右から

覆い被さってきた木々でその先は見えなかった。

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