第5話

「麻薬も拳銃も国内から消えている?」

「良いことじゃない。」

「おっほん。」

「表面上は良いことだな。」

「まだ、全ての事を話すわけには行かないのだが。第8地区の都市に米国、

ロシア、ヨーロッパ、中東、中国、アフリカといった。各国の武器商人達が

頻繁に来日しては2~3日で帰国。

まずは第9地区か10地区へ入国して第8地区へは船で移動して、

第8地区から、飛行機で本国へ帰国。

なんの証拠も無いが、武器商人達が勢ぞろいしている事から秘密裏に

調査を行なってほしい。」

「そういうのは、小林が得意でしょ。私はパス。」

「片瀬さん!」

「片瀬、今回の相手は武器商人だ。小林一人ではいくら秘密裏な

調査といっても危険過ぎる。」

「小林のフォローと警護も兼ねて今回の調査を頼みたい。」

「石原に言っとくから小林ひとりで第8地区に向かいな。」

「片瀬さん、そんな署長からの特命なのに、勝手に決めちゃって。」

「片瀬君、石原とはあの石原君かね!」

「交通課の石原恵美。検挙率は同期の中では断とつのトップ。

目が利くのがあの子の武器。」

「私が小林と街をうろつくより、石原の方が人目にも付き難いし、

一度写真で見た容疑者は忘れない

全国指名手配犯を、2人発見。容疑者は管轄外という事もあって

担当班に連絡して2名とも検挙。私よりは格段に適任だと思います。」

「おっほん。」

「片瀬君がそんなに言うんなら、手配しても良いかもな。」

「武器商人達が勢ぞろいですよ。危険じゃないですか。」

「大丈夫なんじゃない。入国時に武器は置いてきているんでしょ。

第8区で銃激戦なんてここんとこ聞いた事無いし。」

「そういう情報は、詳しいですよね。」

「詳しいっていうより、3・4・5地区にしか配属されないから」

「納得。」

「おっほん。」

「という事で、片瀬君の代わりに石原君を手配してみよう、

もし、だめっだたら片瀬君に行ってもらう。」

「いいね。」

「はい」 、「はい」 。

2人はそろって、啓礼をし、中尾所長が部屋から出ていくのを見送った。

小林は、第8地区に向かう準備を早々にしたいという事で、

自宅に帰るという事だった。

片瀬も、今日は非番の日ではあったが、この機会に捜査というものを

やってみたいと思っていた。

中尾所長に言われた第8地区の件も直ぐにかたずき、一人で居る

時間は、小林が戻てくるまでのわずかな時間しかないと思っていた。

捜査というものを、一人でやってみたかった。

まずは、街を観察してみるか。

そのくらいのことしか考えていなかった。

自宅に帰った片瀬は、シャワーを浴び部屋着に着替え、仮眠を取った。

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