第3話

小林は少し考えてから、

「あっはい。」

「あれは、なんだったの?」

「え~とですねえ~.。確かあれはアンケートのお願いでした。

アンケート用紙を渡してきたので、そのアンケート用紙を押し返して、

帰って貰いました。」

「そこなんだけど、普通は、アンケートを取ろうって学生は、

複数の人間にアンケートをお願いする物なんだけど、あの学生はお前と

接触した後、誰にもアンケートを取らずに立ち去った。・・・。」

「そんなに気になることですか?。」

「気になるっていうか、違和感なんだよね。」

「そうですか?」

「それと、なんで麻取のタレコミを私たちがやるのか、という違和感。」

「あっ!、会議、始まる時間です。行きましょう。」

「あ!こら、小林。こんなの渡していくな。あんたの専門でしょ。」

小林に報告書を押し返して片瀬はさっさと会議室へ向かった。

会議室に入ると、大半の捜査員は席に着いていた。

片瀬と小林が座れる席は会議室の後ろの方にしか空いていなかった為、

大半の捜査員の様に長テーブルに2人、という形で席に着いた。

席に着て直ぐに、赤田課長が会議室に入ってきた。

「まずは、みんなに報告がある。」

「この所、館内とは言わず本国側での外国人による犯罪が減ってきている。

この事は、我らの日頃の活動の賜物であり尚一層の犯罪の撲滅に励んで

欲しいとの、濱田警視正からのお言葉をいただいた。」

片瀬は、隣の小林に肘打ちしてから、呟いた。

「本当に犯罪って減ってんの?」

「え?どうしてそう思うですか?」

「昨日もヤクザとギャングの抗争、週に2~3回くらいの格闘に、月に

1~2回の銃撃戦。犯罪減ってますって、言われても。はい、そうですね。

って実感、全く無いんですけど。

見つけられなくなっただけだったりしてね。」

慌てて、小林が、片瀬の口元を抑えるような仕草をしてくる

「片瀬さん声デカイですよ。」

「ううっん。片瀬なんかいったか?」

「なんでもありませ~ん」

片瀬は、既にテーブルの上に片肘をついた態勢だった。

そこに中尾署長が会議室に入ってきた。

「珍し!署長だ。」

小林は片瀬を、肘で突きながら。

「だれですか?」

「え?署長!を。初めて見た。」

「なんでだよ。配属決まったら普通は、署長に会うだろ?」

「いや。僕の場合は、署長さんが僕の配属の日から、2週間、腸炎で

入院されていて、入れ替わりに僕が、片瀬に病院送りにされて、

帰ってきてからなんか、うやむやな感じです。」

「マジで。」

「違和感ありすぎだろ。課長に言ってみたの?」

「言えませんよ。」

「赤田さんもこの事件に力、入れてるみたいなので、

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