又吉さんと楽しく読書トークライブに行ってきたよ という話

※リンク先は県HPです。

https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/31925


応募したら当選したので行ってきました。たぶん200席くらいあった座席がほぼ満席でしたのでだいぶ人気の企画だったんじゃないかと思います。当選した人は運がいい人、2階通路の立ち見客は運が無かった人(又吉氏談)です。


第一部は「ふるさと秋田文学賞」の表彰式でした。受賞した人には賞金50万円と賞状が送られます。大賞の人はこの文学賞の常連らしく、紀行文とエッセイ部門での受賞歴がある人のようです。選考委員の内館牧子さんから「まるっきり完璧な虚構を書いてみなさい」と言われてから、小説部門にも投稿するようになったとのこと。本業が通信社の記者でそれを元にした紀行文・エッセイ部門での投稿が続いていたようなので、おそらく文章自体はしっかりしたものだと思います。惜しむらくは「夢オチ」で終わってしまった点だということですが、それまでの完成度が非常に高いのだという講評でした。


驚くべきは佳作の受賞者2名が10代、20代ということですね。山本郁人さんの作品は東日本大震災の時に見聞きし感じたことの羅列(受賞時の本人コメント)だそうですが、講評としては「一枚絵」ではなく「コラージュ」らしさを感じられたようです。小説としての完成度は低くても全体を見渡して奇妙な調和が取れている、といった感じの作品なんでしょうか。なんだか気になります。


全体の講評聞いて気になったのは

・取材力の低い作品は冒涜的

・「夢オチ」はやはり「蛇足」

題材テーマを最後まで明らかにしないのは勿体ない

の3つです。


またやはり、プロの作品は常に編集者によるダメ出しを経てみんなに読まれるが、アマチュアはそうでない、というところをしっかり認識して選考しておられるのが印象的でした。受賞作品は市販化されるものではない(PDFにて無料頒布予定)ので、商業作家プロとしてやっていけるであろうよりも「個性」や「特徴」がきちんと発揮されている作品が良いのかな、と思います。その意味ではアマチュアの登竜門として最適の賞ではないか、とも。


そして、第二部の又吉トークライブ。「読む」ということに特化した企画なので又吉さんの普段の執筆姿勢などはあまり伺えませんでしたが、家に5000冊の本があるという背景から見て取れる読書の姿勢は本物でした。最終的に読む動機は単純なものでいいと語られながらも、物語的な面白さだけでなく、言葉の妙味とか奥深さ、そこから広がりうる世界にも気を配って読んでらっしゃるのが個人的に好印象でした。また、よく同じ本を再読したり、再読のたびに気になった部分に線を引く箇所が違ったりで、最終的に全部に線が引かれてるなど、「読書あるある」的なことも共感しました。本当に、優れた本は全てのセンテンスが重要で無駄な一文が存在しないのだと思います。


これを機に又吉さんの作品を読もうという気には特段なりませんが、作家としての彼の存在はこれから少し意識していこうと思います。

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