第11話 介護と石鹸

祖母は本を読むのが好きだ

子供の頃に読書の習慣がついたのも祖母の影響だろう

「おばあさま、朝食の用意ができました」

「ありがとうね」


私にお礼をされると罪悪感がある

介護は苦痛だ


祖母をなるべく早く逝かせる方法が無いか

蔵書家の祖母の本を調べると見つかる

「この植物の本は利用できそう」


ためしてみると祖母は急激に体調を崩した。

「しもの世話も大変ね、ありがとう」


植物の影響でおなかが調子悪い。

汚れた下着を洗う

手についた臭いを石鹸で洗うが取れない

何回も何回も洗う


「お亡くなりになりました」

医者から告げられると少しだけ涙が出た。

介護の苦痛から逃れられる


祖母の部屋を片付けていると、あの本がある

「なぜここにあるの?」


私は本を開くと

「この本で楽になりました、ありがとうね」

涙があふれる


罪悪感と石鹸の臭いが強くなる

錯乱した私は部屋を破壊して回る


家族は私を精神病院に入院させてくれた


今は隔離病棟の中で取れない石鹸の臭い消すために

水でごしごしと手を洗う

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