第5話:梅雨
ザーザーザーザー……
雨がとてつもなく強く降っている。
梅雨だから仕方がないと思うが、毎日毎日雨がふられるとこっちの気分まで下がってしまうので、やめてほしいのが本心だ。
キーンコーンカーンコーン
下校のチャイムが流れ生徒たちはワイワイと帰っていく。
俺はささっと掃除を済ませ、傘をさして帰ろうとしていた。
するとなにやら後ろから声が。
「すーとうくっん!」
大野さんだった。
「傘忘れたから一緒に帰ろ!」
どういう理論なのそれ?
「え…ま、まあ構わないけど…」
そうして、俺たちは皆が帰った後の道を歩いて帰ってった。
ちなみに相合い傘だ。
お互いの肩が触れそうな距離にいる。
「そういえば須藤君ってさ高校何処に行くの?」
「俺は、
「へえ〜。」
(なにその「へえ〜」!絶対に意味深だろ⁉)
大野さんはそう言うと、こちらを見てニヤニヤしながら言った。
「なら私もそこに行こーっと。」
「はあ⁉」
「別にいいでしょ?…なんか不都合でも?」
「いや…そういうわけじゃないけど…」
「ならお互い頑張ろっか!」
「…はいはい」
そう言って俺たちはまた歩み始めた。
「「…………」」
何秒かの沈黙が流れた。
だが、今気づいたことがある。
(そういえばこれって!相合い傘じゃん!)
さっきは冷静に受け止めていたが、よく考えたらなかなかやばいことをしていた。
頭の中で混乱していると―――
「「あっ。」」
二人の手が重なってしまい、急に傘が落ちてきた。
「「…………」」
また二人共が沈黙してしまった。
そうこうしているうちに自分の家についた。
「じゃ、じゃあ俺はここだから……また明日」
「そっか!じゃ、また明日!」
そうして俺は大野さんに傘を差し出して家に帰ろうとした。
(まさか大野さんと相合い傘をする羽目になるとはな…)
そんなことを考えながら、家のドアノブを回す。
がちゃがちゃ。
あれ?おかしいな、開かない。
もう一回やってみる。
がちゃがちゃ。
開かない…だと…⁉
すると、挙動不審な俺を見て、大野さんが戻ってきて言った。
「どしたの須藤くん?」
「いやぁ…実は家が空いてなくて…」
大野さんは少し考えるような素振りを見せた後、口を開いた。
「なら私の家においでよ!」
「ええ⁉…さすがにそんなことはできないよ!」
「いいからおいで?」(圧)
「はい…」
どうやら大野さんは威圧感を出すのが得意らしい。
ここはお言葉(圧)に甘え、大野さんの家に着いていくことにした。
女子の家に行くってちょっと、いやかなり緊張するんだけどな...
そう思いながら大野さんの家へと歩いていった。
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