第4話:体育でのハプニング
今日の体育は持久走だ。
俺はその中の、いわゆる先頭集団にいた。
特段遅いわけでもないが、かといって早いわけでもない速さで俺たちは走っていた。
ちなみに、俺たちの体育は男女混合でやるため、外周を走っている女子に勇姿を見せようと爆速で走る者も居た。
また、このグラウンドの構造上女子と話せるくらいのスペースが有る。
当然、彼女持ちなどはそこで話して走っている。
だから、俺たちはそんなやつを後ろから蹴り飛ばしたりしている。
……非リアの気持ちを思い知れっていう建前の僻みではあるのだが。
だいたい5周半ほど走った時走ったぐらいだろうか。
たまたま大野さんと走るスピードがかぶり、大野さんがからかってきた。
「頑張れ〜?私はもう終わるから。」
「くっそ、こっちももうすぐは終わらねえのに!」
俺がそう言うと、大野さんは涼しい顔で、颯爽と女子の先頭集団を抜かてていった。
大野さんはかなり運動神経が良く、体力もあるため、持久走では1位になることが多い。
今回もその展開だろうと思い、俺は大野さんに追いつくため少しペースを挙げた。
俺が残り半周を走りきった時、大野さんが盛大にコケてしまった。
膝を擦りむいてしまったようですこし泣き顔になっている。
(仕方ないな)
俺は大野さんの肩を組み、保健室に連れて行くことにした。
すると大野さんは顔を赤くして言った。
「ひ、一人で行けるからいいよ?」
「何言ってるんだよ…涙目だったじゃねぇか。あのまま一人で行かせて倒れられたらこっちも気分が悪いだろ」
「分かった…お願いするね…」
そんなこんなで保健室に着いた。
途中、大野さんの女の子らしい凹凸にドギマギしたが、なんとか平静を保つことができた。
「失礼します。」
「はーい。あら!膝から血を出してるじゃない!こっちに来て!」
保健室の先生は、大野さんの傷を見ると、消毒液やら絆創膏やらを取り出し始めた。
この分ならもう俺は居なくても大丈夫だろう。
「では俺はこれで…」
すると保健室の先生が、「君は待っといてくれる?この子を連れて行ってあげる必要があるでしょ?」と言った。
俺は断ろうと思ったが、大野さんのことが少し心配にもなったので、連れてきたからには責任を持って連れて戻ろうと決めた。
保健室で待つこと数分。
処置が終わったらしい。
「はい!これでOK!っさ、教室に戻りなさい。」
「ありがとうございます…」
大野さんはそう泣き顔で答えていた。
俺はそんな大野さんが心配になったので、
「あの...大丈夫?」
と、聞いてみた。
すると大野さんは、
「うん。大丈夫だよ。ありがとね」
と笑顔で答えてくれた。
俺はその笑顔に、不覚にも可愛いと思ってしまったのだった。
そうして俺は、大野さんを連れて教室へと戻ったのだった。
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