第2話:家での二人っきり勉強会
放課後になり、大野さんは僕の家を訪れた。
「こんにちわ〜。お邪魔しま〜す。」
「はーい。上がっといてー。」
(特に引かれはしなかったな)
どうやら杞憂だったようだ。
…そういえば、初めて来た時大野さん以外でも驚かなかった子もいたっけな。
あの子がたしかこの県に移り住んできて初めての友達だったっけ。
いまは何をしてるんだろ。
「須藤く〜ん?入るよ〜?」
「は〜い。上がっといてー。」
「それさっきも聞いた〜。」
「ごめんごめん。」
っと女子を待たせるわけには行かないからね。
「はい。ようこそ〜。」
「お邪魔しま〜す。…わぁ〜ひっろいね〜。」
「いや〜ははは。」
引かなかった女子は大野さんで二人目だ。
周りは田舎といえど、最近は現代風住宅ばかり。
そこの中でぽつんと
誰しもが俺を「ヤクザの子だ」とか「闇の何とかをやってる」とか。
そういう根も葉もない噂をしている。
「この部屋を勉強部屋として使って。じゃ、俺はちょっとジュース持ってくるよ」
「はーい。」
……席を外したが、大丈夫だろうか。
ベッドの下に
ま、そんなことを気にしていてもしょうがないよね。
っささっさと取って勉強しよっと。
「ただいま〜。持ってきたよ〜。」
「おかえり〜。これ、なーんだ?」
そうして手握られていたのはベッドに隠しておいたはずの薄い
「ささ、勉強しよっか?」
そう言って大野さんはニヤニヤしながら薄い本を元の場所にしまった。
屈辱だ…。
…とまあ、とんでもない展開になったけど、なんだかんだで俺たちは勉強を始めた。
「須藤くん。ココがちょっとわからないんだけど。」
「そこはね、公式を当てはめればね解けるよ。」
「ホントだ!解けた!さっすが須藤くん!」
「それほどでも〜。」
まあ俺もそこまで頭がいいわけでは無いんだが。
そんな、何気ない話をして時間は過ぎていった。
カーカーカー。
カラスが鳴き、空の色が茜色になった頃合いで大野さんは帰ろうとした。
「今日はありがとね。とってもわかりやすかったよ!」
そう言って大野さんは帰ってった。
「…あれの場所、変えないとな。」
俺は一人でそう呟くのだった。
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