番外編 クリスマス

「クロード、フラン。今日はクリスマスだ、3人で家族水入らず宴をしよう」

セザールが突然口にした、クリスマスという言葉。

僕はクリスマスパーティだとかそういったことをしたことがない。

「僕はあんたのこと家族だなんて思ってないが」

「まあまあ…こんな日があっても悪くないんじゃないか?」

クロードが横から割って入る。クロードにとってはこいつも家族なんだろうか。

「…そういうクリスマスだとか、行事を家族で行うなんて…できる日が来るとは思わなかった。けど、セザール、お前だけは認めない…」

「今日だけはみんな仲良くやろうじゃないか。いいね、フラン、クロード。」

「……わかったよ」「ええ、勿論」

「ではフランにはおつかいを頼もうかな」

「お、おつかい……僕はそんな子供じゃないぞ…」

「町内のケーキ屋でクリスマスケーキを予約してるんだ。受け取ってきてくれるね?」

「…わかった。(おつかい…楽しみだな)」

「クロードには今日のディナーを調理してもらおう」

「叔父さん、命令してばかりですけどあなたは何するんですか?」

「飾り付けだ。部屋中をキラキラにしようじゃないか」

「(かわよ……)わ、わかりました。料理なら任せてください」

「仕込みはある程度僕がしてあるからね。頼んだよ」


ーーーーー


「ケーキ屋…ここか。こんな物騒な街にもケーキ屋くらいはあるもんだな」

カランコロン♪

「いらっしゃいませ〜」

「あ、あの。予約していたケーキを受け取りにきました」

「かしこまりました!メッセージはどうなさいますか?」

「め、メッセージ?クロード、セザール、メリークリスマス…って書いてください」

「ろうそくは何本お付けしますか?」

「ろうそく……いっぱい!」

「ではこちらになります〜良いクリスマスを!」

「ありがとうございます」

おつかい……悪くないもんだな……

二人とも喜んでくれるだろうか…


「それにしても立派なチキンですね。丸々1匹」

「そうだろう。中に野菜を入れてあるから、それは焼くだけでいいよ」

「ていうか叔父さん……器用ですね……」

叔父さんは紙を切っては貼って星の形やサンタのイラストを作っている。叔父さんってこんなに器用だったんだ。

すると玄関の方から音がする。

「ただいま、クロード」

「「おかえり、フラン」」

「……(ただいまとおかえりがあるっていいな)」

「ケーキは買ってこれたかい、フラン?」

「ああ、買ってきたぞ。それもメッセージ付きでな!ロウソク付きで!」

「くすっ、フラン…そんなにクリスマスケーキが嬉しいのか?」

「わらうな、クロード!みんなでケーキ食べるなんて初めてなんだよ!」

「はは、そりゃよかったよ」

そうしてフランとクロードは手分けして料理をし、セザールは壁中に貼り付ける飾りやクリスマスツリーの飾りを作り終えた。

「それじゃあ……」

「「「メリークリスマス!!」」」





「はっ」

なんだ、全部夢か……

楽しい夢だったな……クロードに、セザールまでいて……

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バレットとナイフ 珈色かぷち @koirocaputi

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