【完結】婚約破棄をされた途端に別の男性から求婚の嵐 ~え、むしろ婚約破棄してくれてありがとうございます~
新川ねこ
第一話 冷たい態度
男爵令嬢カロリーヌは不安を感じていた。幼い頃からの許嫁である公爵家三男ブロワーズの自身に対する態度があまりにも冷たいからである。さらに、ブロワーズは別の男爵令嬢ジョジョゼと良い仲だという噂まで聞こえてきていた。
「なんとしてもこの婚約を成功させないと。お父様に顔向けが出来ない……」
カロリーヌはブロワーズに対する愛こそ無いが、家同士を繋がなければならないという自身にかかる重圧を感じながら必死に努力していた。
「もっとブロワーズ様と仲良くするために演劇やコンサートに誘ってみようかしら。ブロワーズ様が何に興味を示されるのか聞いてまわることも必要ね」
*****
「ブロワーズ様、たまたまご友人の方からブロワーズ様が演劇を趣味にしていると伺いましたの。今度是非一緒にいかがですか? 色々と教えていただきたいのです」
カロリーヌは精一杯の笑顔でブロワーズに語りかけた。愛らしい見た目のカロリーヌが愛らしい表情と声を出すことで、より一層彼女の魅力を引き出していた。
「確かに演劇は好きだ。しかし、演劇はわかっている者同士で行くにかぎる。そうしないと終わった後に語り合えないからな。だから演劇はお前とはいかん」
ブロワーズがそう冷たく言い放った。ブロワーズは何も初めからカロリーヌに冷たかったわけではない。男爵令嬢ジョジョゼと良い仲だという噂が出てから冷たくなったわけでもない。そのだいぶ前から少しずつ冷たい態度をとっていた。
魔法の才能が開花し、学園内で一番の魔法使いと言われ、一部では『聖女様』とまで呼ぶものがあらわれているカロリーヌ。もともと魔力が高く、許嫁のカロリーヌを常に下に見ていたブロワーズはそれがどうしても許せなかった。
仲良くしようというカロリーヌの努力が実らないまま、とうとう学園の卒業パーティの日を迎えることになった。その日、事件は起こった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます