第36話 戦利品
なんて強さだ。
レオンとマリー、それぞれの攻撃力もさる事ながら、2人の息のあったコンビネーション。
マリーが魔法でパイロヒュドラを確実に追い詰め、レオンが会心の一撃で葬る。
勝負は一瞬で片がついてしまった。
僕は、以前先生が言っていた人間の恐ろしさを思い出す。
確かに僕ら獣人より、身体能力は劣っているかも知れないが、それを有り余る魔力と連携でカバーしている。
僕は少しだけ、人間の恐ろしさを感じた様に思えた。
「マリー、ナイスアシスト!」
「レオンこそ、さすがね。」
2人は軽い運動をしたかの様に、爽やかな表情でお互いを褒め称える。
信頼し合っているのだろう。
パイロヒュドラに遭遇した時、2人は微かに微笑んだ様に見えたが、もしかしたらこの2人にはこのくらい日常茶飯事なのかも知れない。
『すごい…お見事です。』
僕も呆気に取られて、素直な賞賛しか言葉が出てこなかった。
「さて!モンスターも倒した事だし、急いで村へ戻ろうか。」
レオンは足速に戦場を離脱しようとしている。
マリーもつられて、森へ戻ろうと振り返っている。
『2人とも待って!』
僕はレオンとマリーを呼び止めて、パイロヒュドラの首へ近寄る。
「どうかしたの?ルーク?」
僕はマリーの言葉を背に、パイロヒュドラの目をえぐり出した。
「獣人たちは、モンスターの瞳を食べたりするのかな?」
レオンが率直な意見を投げかける。
『いや、僕ら獣人にとって力が全てです。でも、このまま帰ったんじゃその証拠がないでしょう?だから、ヒュドラの瞳を持ち帰るんです。』
僕の説明に、2人は大いに納得してくれた。
ヒュドラの瞳をは死後硬化して、ガラス玉の様に硬くなっていたけれど、3人で手分けして合計10個の瞳を持ち帰った。
村に着くと、ディズとウェルが出迎えてくれた。
「本当に人間があの化け物を倒したのか?」
ディズはパイロヒュドラの瞳を見せても信じきれない様子だったけど、僕が信用できないなら現場を見に行けばいいと言ったら、きちんと受け止めてくれた。
「あんなモンスター、別に俺たちでも倒せましたよ。」
ウェルはそう捨て台詞を言って、狩りへ出掛けてしまった。
ともかく、僕らは先生の家へ集まってこれからの事を話し合う事にした。
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