第34話 混成軍、結成
僕の提案に、ディズもウェルも乗り気では無さそうだった。
僕らが勝てなかったモンスターを、人間が倒してしまったら、獣人の恥…とでも考えているのだろう。
だが、事態はそんな悠長な事は言ってられないのだ。
『そもそも、ディズさんが獣人王様から受けた命はモンスター大量発生の調査と討伐でしょう?それを人間が行なったところで、結果自体は変わりありません。レオンとマリーも獣人王様に交渉できて目標達成できるし、お互い得じゃないですか。』
「ふん…納得はできんが一理ある。それに人間ごときにあのパイロヒュドラが倒せるとは思えん。我らがこの2人を始末するのも、ヒュドラが始末するのも同じことだからな。」
相変わらずディズは一癖ある言い方をする。
けれど、僕の提案は飲んでくれたみたいだ。
まとまったところで、僕は先生へ目を配る。
先生は僕の意図を汲んでくれたみたいで、ゆっくりまとめ始める。
「…と言う事です。レオンさん、マリーさん。獣人王様にお会いし、事態を伝えたいなら、まずはその力を示して下さい。獣人王様は弱い者には決してお会いになりません。」
「わかりました。僕とマリーでパイロヒュドラを退治してきます。ですが、そのパイロヒュドラは森のどこにいるのですか?」
「そうですね…私は見ての通りの姿、ディズも決して軽症ではありません。」
となると、案内は僕かウェルになる訳だが…ウェルは終始機嫌が悪そうだった。
事の重大さより、戦闘技術や目先の感情にしか興味がないのだろう。
戦いを通じて、僕はだんだんウェルと距離が出来てしまっているのを感じていた。
『先生、なら僕が2人を案内します。それに僕はお2人に借りがありますから。この機会に精算してきます。」
「わかりました。それなら今夜は遅いですから、出発は明日の夕暮れ。レオンさんもマリーさんも今夜は私の家で休んで下さい。」
こんな成り行きで、僕とレオンとマリーはパイロヒュドラ討伐へ向かう事となった。
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