第30話 敵意

村に着くと、ちょうど狩りの時間だった。

大半の獣人は狩りに出ていて、幸い人間がきた事で混乱は起こらなかった。


「ルーク!無事だったか!」


ウェルが僕の姿を見つけ、駆け寄ってくる。

が、急にウェルは立ち止まり、臨戦体制に入る。


「って!お前!後ろの奴らは人間じゃないか!!」


『ウェル!待ってくれ!この2人は僕の命の恩人なんだ!』


「お前いったい何人命の恩人がいるんだよ!ってかそもそも人間なんかに命を救われるな!!」


ウェルは興奮し、雄叫びをあげる。

村に残っている獣人たちがぞろぞろ出てきて、人間の姿を見るなり一気に攻撃姿勢に入っていく。


『皆さん待って下さい!この2人は獣人王様に会いにきたんです。僕らと戦う意志はありません!』


「人間ごときが獣人王様に御目通り願おうなど、笑止千万!」


村の奥から、ディズが叫びながら走ってきた。

よかった、ウェルもディズも無事だったんだ。


「ルーク、ひとまず無事で何よりだった。パイロヒュドラの件、積もる話もあるが、取り急ぎ後ろの2人は何だ!」


ディズは明らかにイライラしている。

人間嫌いだけでなく、パイロヒュドラとの件がそうさせているのだろう。


『ディズさん、人間が嫌いなのはわかります。でもこの2人はモンスターの大量発生について何か知っています。話だけでも聞いてくれないでしょうか?』


「何?モンスターの大量発生について?」


これにはディズも驚いたようだった。

ディズの指示で、村の獣人はレオンとマリーには一切手を出さない事が決まった。


「しかしルーク、お前なんで人間と会話できるんだ??」


ウェルが疑うような目で僕へ問いかける。

ディズも理解出来ていない様だった。


僕はマリーへお願いし、他の獣人も人間と会話出来るように魔法をかけて貰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る