第18話 先生の過去

「すぐに料理を出しますから、3人は掛けて休んでいて下さい。」


家に着くなり、そう言って先生は台所へ入っていった。

僕とウェルとディズの、不穏な空気が流れる。


「…さて、お前たちに聞きたいが、日頃から鍛錬はしているのか?」


ディズは、鋭い眼光で僕らに問いかける。


「いえ、鍛錬とい鍛錬はしていません。僕らは本能のままに獲物を狩り、モンスターと遭遇しれば倒すのみです。」


ウェルは、少しもためらいなく答える。


「なるほど、獣人として正解と言えば正解だが…どうやらライバー様はお前らに戦闘の手解きはしていないようだな。」


『あの、ディズさん。ライバー先生って、そんなに強かったんですか?』


僕は、単純に先生の過去が知りたくて興味本位で聞いてみる。


「ああ、ライバー様は我ら側近の中でも、一、二を争う強さを誇っていた。俺もライバー様の戦い方に憧れて訓練したものさ。」


知らなかった。あの穏やかで優しい先生に、そんな一面があったなんて。

僕は普段の先生のギャップに驚いていたが、ウェルは違ったらしい。


「なんだよ!先生そんなに強いなら、俺たちに戦い方を教えてくれても良かったじゃないか!」


戦いが好きな僕ら獣人だ。強さに憧れるウェルのリアクションは当然だったのかも知れない。

でも、先生が僕らに戦いを教えなかったのは、何か他に理由があったんじゃないか。

僕はそう思ってしまった。


『先生は、どうして側近を辞めてしまったんですか?まさか獣人王様とお考えが合わなかったとか?』


「いや、ライバー様は獣人王様に忠誠を誓っていた。むしろ、城を離れた理由は…」


そう言いかけたところで、先生が肉のオードブルを運んできた。

熊、鹿、野豚…なんとも豪勢な肉の量だ。


「ディズ、そのくらいで勘弁して下さい。」


先生はにっこり微笑んで、ディズの方を見た。

ディズは珍しく、喋りすぎたとばかりにバツが悪そうに先生から目を背けた。


「それよりもディズ、森の異変が気になります。話してくれますね?」


優しい先生だが、締めるところは締める性格である。

ディズはゆっくり語り始めた。

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