第17話 先生とディズ

村の入り口まできた所で、先生の姿が見える。


「ルーク!ウェル!その姿は一体どうしましたか⁉︎」


血だらけの僕らの姿を見て、先生は慌てふためいて僕らの近くに駆け寄ってきた。


「先生、実は俺たち嗅ぎ慣れない匂いを確かめに向かったら、見たこともないくらいの大量のゴブリンと戦闘になったんです。」


「それで!?2人ともケガは?」


『大丈夫です。僕もウェルも幸い致命傷は負ってません。これはほとんど返り血です。ですが、危ないところをこちらのディズさんに助けて頂きました。』


僕は先生にディズを紹介する。

正直に話したのは、ディズに対する感謝ではなく、先生に対する敬意だ。

ディズを持ち上げようなど、微塵も思わない。


「!!ディズ!あなたこんな辺境に来ていたのですか!?」


「あなた様こそ!!まさかこんな田舎の村で再会するとは!これも森の精霊の導きですか。」


なんだ?この2人、知り合いなのか?

確かに、先生は数年前この村にきて、豊富な経験から、狩りの指揮をとってくれているけれど…。


『お2人は、お知り合いなのですか?』


僕は、先生への興味もあって、自然と問いかけていた。


「ええ。ディズと私はかつての同僚です。」


「え!?と言う事は、先生も以前は獣人王様の側近だったんですか!?」


いつになく目を輝かせてウェルが答える。


「ライバー様、まさかこんな所にいらしていたとは…城では、森の異常事態に、皆あなた様が戻る事を望んでいますぞ。」


「ディズ…やはり最近の森の異常に、獣人王様も気づいていらっしゃいましたか…。積もる話もあります。今夜は皆さん私の家で食事にしましょう。」


まさか先生とディズが知り合いだったとは。

それに、先生が側近だったって。

僕らは早々に立話を切り上げ、先生の家へ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る