第13話 戦闘開始

ウェルが右前方へ飛び出した瞬間、僕は左前方に飛び出していた。

ゴブリンは僕らに全く気づいてなかったらしい。

僕は振り返るゴブリンの頭を掴み、そのまま地面へ叩きつけた。

ゴブリンの頭部が、林檎の様に潰れて爆ぜる。


目の前に、3匹のゴブリンが飛びかかってきた。

僕はそれを右足の一蹴で吹き飛ばす。

その勢いを利用して体を宙で回転させ、今度は左回し蹴りで2匹のゴブリンを木へ叩きつける。


一瞬の出来事に、ゴブリンたちは僕から距離を取った。


ウェルの方を見ると、既に5匹以上の死体が地に横たわっている。


さすがだ、と思う間もなく、四方から同時にゴブリンが向かってきた。

すかさず正面の奴の胴体を爪で貫く。

返り血もさる事ながら、やっぱり匂いがキツイ。

すると腕を抜いた頃に、後方から棍棒で背中を叩かれた。

痛みはほとんどない。だがゴブリンごときに体を叩かれた事に、僕は逆上した。


思い切り腕を振り回し、あっと言う間に周囲の3匹も片付ける。

残ったゴブリンを睨みつけると、数匹逃げていった。


ウェルの方も片付いたらしい。

体毛は酷く乱れ、返り血を浴びているが、足元にはゴブリンの死体の山が出来上がっていた。


『ウェル、お疲れ様。』


「全く、コイツら弱いくせに鬱陶しいんだよなー。」


『ほんとに。そして何よりこの腐った匂い。』


「ああ、きっと腐った性格がそのまま体臭になってるんだぜ。」


ウェルが言い終わるやいなや、僕らは周りの気配に気づく。


『ウェル…僕たち囲まれてるね。』


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