第11話 遭遇
次の夜、僕とウェルは何事もなかったかの様に、いつもの場所で落ちあった。
「おし!今日も頑張ろうぜ!」
本当は思うところがあるのかも知れないが、昨夜と打って変わって、いつも通りの清々しいウェルを見ると、僕の後ろめたい気持ちはなくなっていく。
人間についての興味より、ウェルと一緒に過ごせる今を大事にしようと思った。
それから僕らは、次の日も、またその次の日も順調に狩りをし、僕は今までの自分とは思えないくらいの成果を出していた。
本来の獣人としての能力が開花したのか、ウェルのサポートが上手いからかはわからない。
けれど、2人ならどんな事でも越えられる、そう強く信じる気持ちは、日に日に大きくなっていった。
ウェルと狩りを始めて数ヶ月経ったある夜、僕らは嗅ぎ慣れない匂いと遭遇する。
『…ウェル、なんだろう、この匂い。』
「動物の類の匂いじゃないな…。」
『どうする?行って確かめてみる?』
「ああ、そうだな!行って見ようぜ!2人なら何があっても大丈夫だ。」
当然、未知に対する危険もあった。
けれど、この数ヶ月の成果はウェル本人にも自信になったのだろう。
僕はウェルと同じ思いでいる事が嬉しかった。
僕らはいつもより慎重に、音と気配を消して匂いを辿っていった。
「!!!」
前方を走っていたウェルが何かに気づく。
『…信じられない。』
僕は思わず口にしていた。
目線の先には、大量のゴブリンの群れがいた。
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