第4話 冒険の幕開け

日が沈み、それぞれの家から獣人たちがぞろぞろ出てくる。


「皆さんこんばんは。今夜も狩りには良い月ですね。獣人王様に捧げる為、明日の命を繋ぐため、今夜も張り切って狩りましょう!」


村の中央に集まった獣人たちに、先生が声をかける。

僕は、群がる獣人の中からウェルを探した。


「おっ!ルークじゃん!今夜の調子はどうだ?」


『調子はいつも通りなんだけど…今夜はちょっとウェルにお願いがあって。』


「お願い?」


『うん、今日から一緒に狩りに行かない?』


「いいね!俺もルークと一緒ならもっと獲物を仕留められそうだぜ!けどよ、先生は許可してくれるかな?」


『わからない。だから、今から先生に聞きに行こうと思う。』


僕はウェルと一緒に先生のところへ行った。

ウェルから狩りや戦いのヒントを得たい事、もっと獣人として強くなりたい事、自分の今のコンプレックを先生に正直に伝えた。


「…ルーク、あなたの気持ちはわかりました。私たち獣人は他のどの生き物と比べても、決して弱くありません。ですが、あなたにはまだ経験が足りませんでした。万一、狩りで危険な目に遭うことを考えて、なるべく私と一緒に行動させてきましたが…。」


「先生!ルークなら大丈夫です!基本的な格闘術は俺と大差ありません。それに、ピンチな時は俺が必ず守ります!お願いします!」


先生に頭を下げるウェルを見て、僕は胸が熱くなった。ウェルは僕を見下す訳でもなく、まっすぐに僕を理解してくれる。

僕は、とてもかけがえのない友を持ったと感じた。


「…わかりました。今夜から、ルークはウェルと一緒に狩りへ出かけなさい。ただし、2人とも決して無理はしないように。」


『ありがとうございます!』

「ありがとうございます!」


2人同時に言葉が出た。

僕らは顔を見合わせながら、すこし気恥ずかしそうにお互いはにかんだ。


ここから、ウェルとの冒険の日々が始まる。

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