第2話 朝起きたらイケメン先輩になってました
憧れのあの人や好きなあの人や推しと言った人物になりたいとか朝起きたら推しになってないかなーとか考えることはきっと珍しく無いと思う。しかし実際、現実になると……
「だれ?」
ついそう言いたくなるのは、寝起きだからでは無いだろう、目が覚めて体を起こすと正面には全身が写る鏡、姿見というやつがありそこには私、桜 四季(さくら しき)では無い人物が映っている。少しずつ寝ぼけた頭が働き始め、脳が覚醒してくる。
「え!?せん…ぱい?が私?え、え?」
夢を疑いベタだが、頬をつねってみる、ちゃんと痛かった。現実だ。
それから20分ほど経ちようやく落ち着き、頭を整理できた。私は今、私は、好きだった響先輩になってしまったらしい。正直意味がわからない。起こってることが事実だとするなら疑問が多すぎる、まず真っ先に思い浮かぶのは自分の体の事だ。もしも私の体に先輩が入っているなら、私は先輩に久し振りに会いに行く必要がある。正直、恋を諦めた相手に会いに行くのは気まずい。
この、先輩の家の事と、先輩の母親のことは既に私は知っている、部活の時それなりの人数でこの家の庭でバーベキューをした時の会場が先輩の家だったからだ。
「とりあいず着替えないと」
クローゼットを開けて慣れない体で着替え始めた。上裸にらなって姿見の前に立つと、見えるシックスパックを顔を赤らめて、ちょんちょんと指で叩くように触ったりしながらき替えが終わり階段を降りてリビングに向かう
「あれ?響今日は着替えてるの?」
「え?あ、うん」
少し驚きながらも、先輩の母親に返事をする。先輩は後から着替えるタイプだったんだ。
その後朝食を食べ、洗面所に向かう、鏡には寝癖がつきながらもイケメンな顔が映っていた。先輩いつもセンター分けだったはず……だけどどうやってやるんだろう。元の髪質に甘え軽く櫛を通すことしか知らない四季には髪の毛をいじることを知らなかった。女子としてどうなんだろうと思うが、四季は自分なんかと悲観してやってこなかった。
結局、寝癖を治して軽く櫛を通すだけにして家を出ることにした。起きた時、色々戸惑いすぎて時間がかなり経っており、遅刻しそうとだからと言い訳にして家をでる。
「とりあいず、私を探さなきゃ」
それから学校に向かい私の体は見つけられず、学校の門まで来てしまった。
「おーい、ひびきーおはよー」
「あ、天せん……天お、おはよ」
この人は稲荷 天(いなに てん)先輩で、響先輩の友達でよくバスケ部を見に来てた人だ、かなり可愛い系の見た目で人気に人物だ。
「どしたん?なんか変だよ?髪もいつもと違うし」
「い、いや別に何でもないよ、髪もちょっと寝坊して急いできたんだよ」
「ふーん、そうなんだ、あ、じゃあ僕が髪いじっていい?」
「え?」
そうして私は男子トイレに連れてかれ、色々髪をいじられたが、結果的にいつも通り響先輩の髪型にしてもらった。
それから、しょうがなく先輩として授業を受けた、もちろん内容はほとんど分からないがちゃんとノートだけは取るようにした。
そして昼休み、私はため息をつきながら先輩の席に座っていると、廊下が、ざわつき始めたいることに気がついて廊下を見ると、びっくりするくらいの美少女が教室の扉の前にいた、こんな可愛い人この学校にいたっけ?そんなことを思っていると、その人と目があった、その人は手をくいくいと、こちらに呼ぶようなジェスチャーをしている。
「呼ばれてるよ?」
「え?わた……俺?」
「え?響でしょ、だってあれ四季ちゃんでしょ?」
「え?」
わたし?
私は呆然と教室の扉の前にいる美少女を眺める。
天先輩は「四季ちゃん、磨けば光ると思ってたけど、あそこまでとはー」とか言っているが、私の耳には届かなかった。
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