芋な女子と入れ替わったので美少女にする話

はす

第1話 朝起きたら知らない天井

 知らない天井だ。人生で言ってみたいセリフ第一位!好きなアニメのセリフだが実際その立場に置かれると正直怖くなる。


「どこだここ」


目が覚めた瞬間から感じている違和感に従い下を向き自分を見ると俺、一色 響(いしき ひびき)は困惑した。その姿は普段見慣れた景色ではなく明らかに女性物のパジャマでありそしてわずかに視界に入る谷間……きっと夢だろうと響は再び眠った。


 煩わしいアラームによって目が覚める、いつもと音が違うが寝起きの頭ではそこまで気づかない、違和感に気づいたのは普段ノールックで止められるアラームが止まらないことだ。眠い目を擦りながら振り返ると普段とは違う位置でなってることに気づく「ん?」と声が出てしまった原因はなっているアラームが見慣れない物だったからだ、とりあいずこの煩わしい音を止めるため上に分かりやすく付いていたボタンを押すと音は止まった。

そしてあたりを見渡す……


「夢じゃなかったのかよ」


と呟いた。



 数分経ち深呼吸をした、とりあいず状況を整理しよう、俺の起きた場所は明らかに知らない場所で、分かるのは女性の部屋であること、ピンクの布団にピンクのカーテン、そしてなによりおかしいのは俺自身だ。明らかに体が小柄で男にはあるはずの胸がでている。俺は意を決してその胸を揉んでみる。


「柔らかい……けどあんま興奮はしないか……?あーあー、あーいーう」


自分の声が普段より明らかに高いことに気づき驚いた。考えてみれば当たり前か今の俺が女だとしたら。

そんなことを考えているとピコン!と音がした。その音に俺はビクッと震えてしまった。スマホだ、机に置かれ充電されたスマホを手に取って開くと、ロック画面にlimeの通知で新着メッセージと書かれていた。スマホのロックを解除しようとしてみたがパスワードに阻まれて開かなかった指紋認証の可能性を信じて両の親指を試したがダメだった。

諦めてスマホを置こうとした時あることを思い出し、スマホの電源を再びつけ、横にスクロールするとカメラが起動して奥の景色が映ったのでインカメにすると、よく知った顔が映った。


「桜じゃん」


桜 四季(さくら しき)バスケ部のマネージャーの一人で俺の一個下の後輩だ、俺は今はもうバスケ部を引退済だが現役の時は結構お世話になった。そして密かに俺が気になっている人物でもある。恋愛的なものではなく純粋な興味だ、桜の印象は見た目は地味で眼鏡をいつもしていて、黒髪ロングがすごく綺麗、性格は少し謎で周りと少し距離を置いているような印象で気になっていたのだ。


そして今そんな桜の体に俺が入っている状況で俺がするべきことは決まっている。男が女の体になったらやることは一つだ!そうして俺は右手をズボンに、左手を下から捲るように上着に入れた。



「四季ーーー朝ごはん食べないのー?」


と声に俺はビクッと震えたがきっと今のは母親の声だろう。どうしたものかと考えて、とりあいず今はなんとか学校に行き俺の体に会うことが最優先だと思った。そうして俺は部屋を出て階段を降りる。


「おはよう」


おそらく母であろう女性が忙しそうにキッチンから俺に声を掛けた。


「おはよう……」


とりあいず同じように返す。ここは受け身で乗り切るしかないなと考えながら「いただきます」と朝食を緊張しながら食べ始める。ありがたいことに朝は忙しいのか母親が話しかけてくることはなかった。


朝食を食べ終わった時問題が起きた。トイレどうしようと、確か男性と比べて女性はトイレが近いんだっけ、尿意を感じ始めてから明らかに早く漏れそうな感覚が襲ってくる。


あーもートイレどこだよ!少し家を歩き回っているがトイレらしき場所が見当たらない。

漏れる!!と思った瞬間に開けた扉がトイレだと気づき急いでズボンを下ろし、便座を上げて尿意を解放してから気づく、あまりに急ぎ過ぎたがあまり、立ちションをしていた……もちろん男ならついているはずのホースもないため尿は容赦なく床を汚す。


あーもう男に戻りたい……

切実にそう思った。

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