第2話 初めまして、は嘘の味

「リヴァ、今日から君の専属使用人となる。アリシアだ」


 は? 専属使用人? 


 俺はいつもと同じように庭園で遊んでいると、急に当主である親父ルートン・ブラッドフォードから呼び出され、一人の女の子を紹介された。


 また何かの嫌味かと、そう思ってここに来たというのに、代替え品の紹介とは、何とも馬鹿な愚かな親なのだろう。


「アリシアです。これからよろしくお願いいたします。坊ちゃま」


 だが、目の前にいる女は俺の戸惑いなんて関係無く、挨拶をし始める。


 じっと俺の事を見つめてくるその眼興味が無そうな瞳に、正直、愛想が無い女、と思った。


 今までの使用人達は、何かと愛想笑いをして来たり、こちらの事に取り入ろうと必死な奴がたくさんいたが、今回、親父から紹介されたのは、無表情、感情の無い声音、何とも愛想が無い女なのだろうか認識してしまう。


「リヴァ、挨拶を」


 いつまでも挨拶のしない俺に、親父は静かに睨みつけてくる。


 親父の瞳に俺は、悪態を付きながらも、目の前にいる女の子を見つめる。


 ボロボロの服に、細い手足、一目見ただけでも学も金も地位の無い身分の低い女、だと認識する。


 何より銀眼、白髪のその顔は、すぐにでも死にそうな貧民の顔をしていた。


 はっ、これが、俺の使用人? 


 内心、女のことを嘲笑いながら、品評を済ませるとにっこりと頬を笑みで歪ませる。


 親父の言われるがまま、愛想のよい表情かおを作り、女性の喜びそうな仕草を見せる。


 だけど、俺はこう思っていた。


「はい、よろしくお願いいたします。アリシアさん」


 今回も散々、苛め抜いて、やめさせてやろう、と。



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