二度目の告白と恋?恋愛?
「提案なんだけどさ......夏だけお姉さんの彼氏になってみない?」
緊張からか熱気がぶり返してきた千歌先輩の自室にて。
千歌先輩は顔色一つ変えず、優し気などこか慈愛に満ちたようなそんな表情を浮かべ呟いた。
「要するに君は恋心かわからないから断ろうとしてるんだよね?」
「......はい」
こんなの自分勝手だと分かっているのだが、自分の気持ちが不透明なまま付き合って千歌先輩を傷つけてしまう怖いのだ。
......俺は恋愛に限らず人を好きになると言うことは、相手に依存し自らの地雷を作る自傷行為だと思っている。
そんな千歌先輩の命が委ねられる先が今の俺に務まるのか......いや、務まらないだろう。
「......」
なんて理屈っぽく自己正当化しているが、結局の所俺は怖いのだ。
千歌先輩には笑っていてほしい。
先輩として友達として大切な千歌先輩に傷ついてほしくない。
そして、何よりも醜いゴキブリ人間な俺は絶対にその原因が自分では合ってほしくないのだ。
「...ねえ、賭けしない?」
千歌先輩は満を持したような表情を浮かべ、俺の瞳を一直線に見つめ呟いた。
「賭け?」
「うん!これから夏休み始まるじゃん?......お姉さんはその間君を全力で落としにいくから、それでも気持ちが変わらなかったら君の勝ち...お姉さんは身を引くよ。どうかな?」
千歌先輩は部屋と対比するようにひんやりとしている手で俺の右頬を触ってきた。
細くしなやかで柔い感触が直で伝わってくる。
「...千歌先輩は本当にそれでいいんですか?」
「ん?なんで?」
「高校二年生の夏休みっていう大事な時間を俺みたいなヤツの為に割くことになるんですよ...?」
しかも先輩が望む結果になるとも限らないのだ。
「......君と一緒にいられなかったら意味ないし、私は楽しみだよ」
だが、もし俺の気持ちが変わらなかったらそれはより千歌先輩を苦しませるだけなのではないだろうか。
こんな風にダラダラと先延ばしにし続けてもお互いに取ってよくないのでないか。
そんな思考に頭の中が支配される。
「断言する!......優くんは夏が終わる頃にはお姉さんにメロメロになってるよ!」
千歌先輩は俺のことを見つめながらお互いの太ももと太ももが当たるほどに接近してきた。
女子独特の甘くどこか懐かしいそんな香りが否応なしにこちらへやってくる。
「...だからさ?私を受け入れて......いや、君の夏をくれないかな?」
「......本当にいいんですか」
そんなことが俺みたいな無価値な人間に許されるのだろうか。
「君が望むならね。舐めないでよ~?......お姉さん、大好きな子の為なら何でも
やってあげたくなっちゃうんだから」
千歌先輩が白くて女の子らしい右手を差し出してきた。
俺は本当にこれを受け入れてしまっていいのだろうか。
.......きっと、それは考えても考えても答えはでないのだろう。
ならば、、、
千歌先輩となら一歩前進とまではいかなくても、振り出しくらいなら戻れる気がした。
「よろしくお願いします」
かくして俺の夏は始まったのだった。
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