引きこもり義妹

「ふぅ~お家はやっぱり涼しいね!お姉さん、感動だよ......」

 あれから夏の熱気から逃げる様に駆け足で帰路についた俺たちは、3分後には以前より心なしか少し軽い気がするリビングのドアを開けていた。

 その刹那、身体全身が恵みの寒気に包まれる。

 ......エアコン気持ち良すぎだろ!

「...お邪魔します」

「ただいま~!」

 リビングには千歌先輩のお母さんと俺と同い年くらいの女の子がいた。

 艶めかしさがありながらも純情そうな印象を抱かせる黒髪に、ガラス細工のように繊細で美しい顔。

 小柄な千歌先輩や里香とは違いスラっと高い背。

 ......どことなく千歌先輩のお母さんに似ている気がするので、察するに例の義妹なのだろう。

 不謹慎かもしれないが、家に引き籠っていると聞いていたのでてっきりゴキブリ人間兼戸塚菌な俺でも親近感を持ちやすい内向的な人物かと思っていたのだが、どうやら予想は外れたようだ。

 まあ、そもそも千歌先輩のお母さんの遺伝子を受け継いでいる時点でゴキブリ人間兼戸塚菌とは格が違うに決まっているのだがHAHAHAHA

「おお!優くんじゃ~ん!おひさ!千歌も暑い中ご苦労!」

「お久しぶりです。あの......そちらの方は?」

「あっ、そっか。初対面なのか。この子は千歌の妹で......と本人の口からの方がいいかな」

「夏川 玲です。あまり関わることはないでしょうが、以後お見知りおきを」

 玲さんは余程俺に興味がないのかダイニングテーブルに頬杖をつきながらスマホ片手に一礼した。

 まあ、俺みたいな人類の敵兼戸塚菌の場合、拒絶されなかっただけましなのだろう。

「千歌先輩の後輩の戸塚 優です。よろしくお願いします」

「知ってます。でも、意外ですね。姉はもう少し華のある人を連れて来ると思っていました」

「こら!ごめんな優くん。この子ったら優くんと同じく今年で16なのに、まだ思春期拗らせてるんだ」

「いえ、お構いなく!俺も人間不信を拗らせているので!HAHAHAHA」

「フォローになってないと思うよ!?.......常々思うけど君ってほんっっとうにブレないよね...!」

 ふと、玲さんの方を見るとこの一連の会話が不快だったのかイヤホンで耳を塞ぎ、またスマホを眺めていた。

 何だか気難しそうな人だが、思春期の高校生なんて家ではこんなものだろう。

 俺はなるべく波風を立てない為にもすぐに昼食を頂くことにしたのだった。



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