夏川家再び
上等なクラシック音楽のように美しい音色を奏でている小鳥の囀りに、雲一つない青空を照らす灼熱の太陽。
どこからか聞こえてくる子供たちの遊び声。
俺は例の約束を果たす為、数週間ぶりに千歌先輩の家がある閑静な住宅街を訪れていた。
何だかここら辺の人たちは家庭菜園やら庭遊びなど、たまの休日を有意義に過ごしていて、ゴキブリ人間兼戸塚菌な俺は嫉妬で死にそうである。
まあ、
ちなみに俺の休日の趣味はロック鑑賞と不幸なニュース収集であるHAHAHAHA
「もう、2時だしお腹空いたよね~?」
あと、家まで600mくらいと言う所で千歌先輩が萎れた声色で呟いた。
今日は夏川家で昼飯をご馳走して頂けると言うことで、千歌先輩もこの時間まで何も食べられていないのだろう。
「そうですね。外は暑いですし、先輩はご自宅で待っていてよかったんですよ?俺みたいな社会不適合者は、周りから冷たい目線を向けられるのでちょうど飽和されますが、陽キャな先輩はそうはいかないんですから!HAHAHAHA」
「こんな猛暑でも卑屈は健在なんだ!?......お姉さん、君のその一貫性には感心だよ...」
良い意味ではなく悪い意味で変化を拒み続け、時代に取り残される......それがゴキブリ人間戸塚菌の宿命であり、性である。
「......それでさ、昨日はどうだったの?」
先程とは打って変わって、少し取り繕ったような張り詰めた表情を浮かべながらこちらへ問いかけてきた。
昨日の事とはおそらく母さん達とのことだろう。
「正直、お互いに分かり合えたかは微妙ですが、一応思いの丈は打ち明けられましたよ」
「そっか...!だったら、お姉さん安心かも!」
まだまだ話し合いやお互いに妥協の余地はあるだろうが、それでも昨日の出来事は戸塚家に取って大きな前進であったと言えるだろう。
「まあ、今朝は戸塚菌の癖に母に自分勝手言ってしまったっと言う罪悪感からロクに話せすらしなかったんですけどねHAHAHA」
「真面目な話に自虐ネタ混ぜないでよ!?......きっと、優くんのお母さんも母親心としては思いをぶつけられるのは嬉しかったと思うよ~.......それにうちも喧嘩して一日お互いに平気で口きかない時とかあるし、大丈夫だよ!うん」
「けっ、休日にBBQやっちゃう系な美男美女陽キャ家族に言われても説得力ねーよ」
「まさかの辛辣!?......最近は色々合ったからお姉さん久々に聞いた気はするかも。。。」
確かに戸塚菌ジョークが通じる場が少なかったので、最近はあまり言えていなかった気がする。
「......っとここで話し込ませてしまってすみません。続きは家に帰ってからにしましょうか」
「だね~」
かくして俺のある意味では人生最大の修羅場が幕を開けたのだった。
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